病気について知る病気辞典

下肢静脈瘤 ー症状と予防、治療方法についてー

2017年12月9日

下肢静脈瘤とは、「静脈の流れに障害が起きて、脚の血液が心臓に戻りにくくなって留まり、静脈に沿った形の瘤が出てくる病気」です。日本では10人に1人が下肢静脈瘤で悩んでいるといわれます。
「だるい、かゆい、むくむ、こむら返り」という初期症状から、「醜い、汚い、傷ができて治らない」という重度の状態まで何年もかけて進行します。静脈瘤のために「スカートがはけない」「温泉やプールで人の目が気になる」「夕方になると立っていてつらい」と症状を訴え、多くの患者さんが当科外来を訪れます。
人間が生きていくのにかかせない酸素や栄養を運んでいるのが血液ですが、体内で不要になったものを尿や汗として体外に出せるように運ぶのも血液です。その血液は心臓から動脈を通って足先まで届き、そこから静脈を通って心臓へ還ります。
心臓から最も遠く重力の影響を受けやすい脚の静脈は、血液を心臓へ戻そうとする力が足りないために、重力の影響を受けて血液が地面の方へ戻ろうとしてしまいます。この時に血液が地面の方へ逆流してしまうのを防いでくれるのが、血管の内側にハの字型についている「弁」です。正常な静脈では、血液が通過するときにこの「弁」が開き、通過すると閉じて逆流を防ぎます。
静脈瘤の患者さんでは、この「弁」が壊れて閉じなくなってしまいます。そのために血液が逆流して血管内に留まり、静脈の形にボコっと膨らんだり足がむくんだり、だるかったりといった症状を引き起こします。進行すると炎症を起こしたり傷ができてしまいます。
下肢静脈瘤になりやすい、もしくは悪化させやすい職業があります。それは狭い厨房やカウンターで料理をし続ける料理人(寿司職人など)、美容師や理容師、スーパーのレジ係など、じーっと立っていなければならない立ち仕事の人です。
立ち仕事は、長時間、脚を十分には動かせないというケースがほとんどであり、そのためふくらはぎの筋肉による血液ポンプ作用が働かず、さらに重力の圧力が高い状態が続いてしまうのです。また、パソコン作業などのデスクワークも座りっぱなしで筋ポンプを長時間動かさないため、下肢静脈瘤になりやすいと言えます。
1時間に1回は、座りながら足踏みをする、足首を動かす、立ち上がるなど、意識的に動かすことでリスクを下げることができます。
下肢静脈瘤は静脈弁の働きが悪いことが原因であり、根本的な治療はレーザー治療をはじめとした手術が必要となります。基本的には生命を脅かす病気ではなく、必ずしも手術が必要な病気ではありません。絞まる靴下(弾性ストッキング)の使用や適度な運動習慣などでも、症状の改善はある程度は期待できます。
しかし手術もそれほど大がかりなものではなく、局所麻酔でも施行可能であり症状の改善効果は大きいです。症状が気になりましたら、一度、専門医への相談も検討されてみてください。