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単純性股関節炎について~子どもの股関節痛をきたす、よくある疾患~

2019年8月23日

 単純性股関節炎は幼児?学童期によくみられる股関節炎です。一般外来で遭遇しやすい疾患で、よく相談を受けます。小児の股関節痛を呈する疾患のうち、最も頻度が高いとされています。風邪を引いた後、運動後、外傷後等に起こりやすい股関節炎です。アレルギーが原因とする説もあります。誘因がはっきりしないことも多いです。
 通常、熱は出ず、全身状態は良好ですが、股関節部、大腿部、膝関節部等の痛みを訴え、歩行障害をきたします。また、股関節の動きに制限が出ます。レントゲン写真上、骨格には異常ありませんが、関節液がたくさん溜まっている場合は、関節の隙間が広がって見えます。エコー検査を行うと、関節液の溜まり具合や改善の経過を観察できます。

 治療は通常、安静のみで、鎮痛剤を用いることも無く、数日?数週間の経過で速やかに改善しますが、スポーツはもちろん登園や通学も控えてもらいます。症状が強い場合や自宅で安静にすることが難しい場合、入院加療することもあります。その場合、ベッド上で下肢牽引を行い、安静を図ります。少々退屈ですがトイレ以外はベッド上で過ごしてもらいます。痛みが改善後、少しずつ歩行訓練を行い、次に階段昇降訓練等を行います。症状改善後も1?2週間はスポーツを控えてもらいます。後で述べる「ペルテス病」と初期症状が似ており、鑑別のため2カ月後にレントゲン検査を再度行います。

 鑑別診断として、
①大腿骨頭すべり症
②化膿性股関節炎
③ペルテス病
等が挙げられます。
 ①は骨端線(成長軟骨板)がずれる病態でレントゲン検査やCT検査等で判断します。②は細菌感染によるもので通常高熱が出て、全身状態が悪化します。③は大腿骨頭部が壊死し陥没してくるもので、当初はレントゲン検査で分からないことが多いです。MRIが撮影できるようであれば早期に検出可能です。
 単純性股関節炎は基本的に良性の疾患で、通常症状を残さずに治癒しますが、症状があるまま動いていると回復に時間がかかったり、ぶり返したりするので早めの対処が望まれます。
 股関節部、大腿部、膝関節部の痛みをお子さんが訴えられる場合、上に挙げた疾患の可能性があります。単純性股関節炎以外の疾患にはそれぞれ特別な治療法があります。特に化膿性股関節炎は迅速な対処が必要です。

 お子さんが股関節~膝関節にかけて痛みを訴えられているようでしたら、お近くの整形外科にご相談ください。