病気について知る病気辞典

うつ病と「早寝、早起き、朝ごはん」

2011年7月1日

十分な睡眠で脳を休める

近年、うつ病の増加が問題になっています。精神科や心療内科を受診することに抵抗がなくなり、心の不調を感じる人が早めに受診するので、軽症うつ病や新型うつ病といわれる患者さんが増加しているようです。うつ病の場合、ほとんどの患者さんが「寝つきが悪い」「たびたび目が覚める」「朝早く目が覚めてすっきりしない」など、睡眠障害を訴えます。

睡眠は健康のバロメーターであり、うつ病が治ってくれば、眠れるようになってきます。逆に、慢性的な睡眠不足は、知的発達や、気分や感情などの心の健康に悪影響をもたらします。

福岡教育大学の横山正幸名誉教授らによる、学力と就寝時間の調査(小学4~6年生対象)によれば、小学生の成績上位者50%は午後9時半前に就寝しており、10時半を過ぎて就寝している小学生には、成績上位者はいないことが判明しました。また、朝寝坊の子どもは朝食抜きになることが多く、集中力がなく無気力で、キレやすい傾向があることも分かり、文部科学省は「早寝、早起き、朝ごはん」という標語を掲げて、規則正しい生活習慣を奨励しています。

大人の場合でも、1日4時間から6時間しか眠らない生活を2週間続けると、物事を正しく認識し判断する能力や、段取りをつけて能率よく行動するといった能力は、丸2日徹夜したレベルにまで低下します。その上、この睡眠不足の状態を長期間続けていると、気分や感情に関係するセロトニンなどの神経伝達物質の働きに異常を来すといわれています。夜更かしによる睡眠不足や長時間労働によるストレスは、脳の疲労を引き起こし、うつ病の引き金の一つになると考えられます。

NHKの生活時間調査では、50年前の日本人は、65%が午後10時半前に寝ていました。午前0時以後に寝る人は5%しかいませんでした。ところが1995年には、午後10時半に寝ている人は30%以下、午前0時を過ぎて起きている人は30%以上でした。今ではもっと“夜更かし社会”になっています。

明る過ぎる照明を落とし、テレビやパソコンを早めに消して、早寝早起きで脳の疲労を取り、心の健康を守りたいものです。