病気について知る病気辞典

認知症と治療薬

2011年10月1日

広がる治療薬の選択

日本は世界でも類を見ないほどの超高齢化社会となり、認知症患者数も増加してきています。そのため、一般の方にもどのような病気か、発症したらどのように対応していくかなどの知識が徐々に普及してきました。

不治の病で、なすすべもなく経過を見るだけだった時代が終わり、認知症治療薬が初めて世に出てから10年がたちました。その間、認知症に伴う不眠やいらいらなどの症状に対しては漢方薬が有効であることが分かってきたり、従来からあった薬で認知症のさまざまな症状への有効性が検討され、使用されるようになってきています。

一方、物忘れの進行そのものを遅らせる薬は今まで1種類しかなく、副作用が出てしまうと認知症治療薬の使用をあきらめなければなりませんでした。そのような中、薬の分野でも研究が進み、今年に入って新しい認知症治療薬が処方可能となりました。

ただ、問題になるのは、いくら薬が開発されても服用できなければ意味がないということです。認知症の症状は複雑で、朝1回の内服すら難しいことも多々あります。アルツハイマー型認知症では「自分は病気ではない、しっかりしているのに何で薬を飲まないといけないのか」と内服を嫌がられる方もいます。また、進行してくると薬を飲むという行為そのものが理解できず、口から薬を吐き出したり、口の中に薬をためて飲み込まないなどの症状が出てくる場合もあります。

こういった患者さんに対して、今後は錠剤が飲みにくければ粉薬や水薬、また内服が難しければ貼り薬といった選択肢が出てきました。また、進行した患者さんで従来の認知症治療薬を最大限内服している上に、さらに効果のある薬を加えて飲むということも可能になってきました。

認知症と一言で言っても多様な症状があり、すべてを薬でコントロールすることには困難を伴います。しかし、「物忘れが出てきたな、進んできたな」と思われる方や、家族に認知症患者さんがいて「うまく薬を飲んでくれない」などお悩みの方は、一度主治医にご相談ください。