肩こりと頭痛って本当に関係あるの? 治療はどうするの?
頭痛でお悩みの患者さんは多いと思います。特に最近はパソコン作業やスマートフォンの使用が日常生活に浸透していますので、それらをきっかけとする頭痛も増えてきているのではないでしょうか。
ところで「肩こりから頭痛になる」というフレーズはよく耳にすると思います。それって本当でしょうか。そこで今回は肩こりと頭痛の関係を考えてみたいと思います。
まず頭痛には国際分類があり、全部で200種類以上に分類されます。これは凄い数ですね。その中で命に関わる急性の頭痛もありますが、ほとんどは命に別状のない頭痛です。中でも慢性的な疾患として有名なものが、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛です。これらは命に別状はないとは言え、症状のつらさからうつ病を併発してしまうこともあるくらい、とてもつらい頭痛疾患であることは間違いありません。
では、肩こりが関係する頭痛とはどんな頭痛でしょうか? それは緊張型頭痛のことが多いと考えます。緊張型頭痛の特徴として、頭が全体的に締め付けられるような痛みや圧迫感があげられます。症状は数十分程度で収まることもあれば、1週間も続いてしまうことがあります。
原因として頭や首の筋肉の過度な緊張と血流不足が考えられています。そして、頭蓋骨を覆う筋膜が痛みに対して敏感になってしまうことも分かっています。
しかし、肩こりが直接頭痛を引き起こすということではありません。肩こりが酷いということは、それだけ肩や首の周りの筋肉が緊張し、血流不足になっているということです。日常生活の中で肩こりになりやすい方は、肩だけでなく首や頭の筋肉も緊張して血流不足になってしまう傾向があるということになります。ですので、「肩こりが辛いな~」と思っているうちに、頭痛まで起きてしまうということなんですね。
では、治療はどうしたらいいのでしょうか。
やはり原因となる筋肉の緊張を和らげ、血液の流れを良くしてあげることが重要です。日常生活の環境や姿勢の改善、そして首や肩の周りのストレッチもお勧めです。
症状が強い時は消炎鎮痛剤の使用も良いと思います。うつ病の症状には関係なく、うつ病の治療薬が頭痛薬として効くこともあるようです。
そのほか、神経ブロック療法を行うこともあります。痛みの発生ポイントに直接注射をするトリガーポイントブロックや、交感神経の緊張を緩和する星状神経節ブロックなどがあります。星状神経節ブロックでは頭や首の血流が改善してすぐにポカポカするのを実感できます。また、星状神経節ブロックは片頭痛や群発頭痛でも効果が期待できるとされています。
多くの頭痛は命に関わらない良性のものがほとんどですが、症状により治療法は異なってきますし、必ずしも肩こり=緊張型頭痛とは限りませんので、つらくなる前に早めの医療機関受診をお勧めします。