病気について知る病気辞典

最近の卵巣がんの治療事情

2020年10月16日

 最近、日本では卵巣がんに罹患する女性が増加しており、毎年約1万人の人が卵巣がんと診断されています。
 卵巣がんには、前がん病変からがんを発症するものと、ある時突然がんとなるものの2つのタイプがあり、多くは後者の突然発症するタイプです。そのため、子宮がん検診のように前がん病変で見つけて治療することが難しく、死亡率を減少させる有効な検診方法はいまだ確立されていません。加えて、卵巣は下腹部にあり、腫瘍による圧迫症状や痛みなどの自覚症状に乏しいため、進行した状態で診断されることが多く、卵巣がんの治療を困難にしている要因の一つです。
 最近、卵巣がんになりやすい体質についての知見が集積され、希望すれば血液検査で診断(一部は保険診療)できるようになりました。卵巣がんになりやすい体質の人には、希望者には分娩終了後に予防的に卵巣を取り除くことで卵巣がんになることを回避できる方法も実施できるようになりました。
 卵巣がんの治療は、主に手術と抗がん剤です。おなかの中のがん病変をできるだけ取り除き、適切な抗がん剤で治療することがなにより大事です。医療の進歩でより安全な手術方法や新しい治療薬も開発され、ここ数年で治療法も大きく変わりました。現在も新しい治療法が治験や臨床試験で開発されつつあり、近い将来診療の現場に導入される予定です。ゲノム医療もこの開発に拍車をかける形で進められています。卵巣がんをめぐる診療状況は、今まさに大きく変化しています。