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最近の屈折矯正って、どんな治療?

2021年11月5日

 近代社会においては、パソコンやスマホをはじめタブレット端末の普及により目を酷使する環境となり、近距離で目を使う機会が多くなっています。そのため、近視の人口は増えつつあり、現在、日本の高校生では8割ほどが近視といわれています。
 近視を矯正する方法には眼鏡やコンタクトレンズなどがありますが、スポーツや仕事上で使用ができない、もしくは眼鏡やコンタクトレンズの煩わしさから解放されたい方には、適応する症例に対して「オルソケラトロジー」、「アイレーシック(iLASIK®)」、「アイシーエル(ICL)」手術が選択肢に入ってきます。今回は、この最近の近視矯正法について解説します。
 「オルソケラトロジー」は、通称はオルソといい、寝ている間に特殊な形状をしたレンズを装用することで角膜の形状が矯正され、朝にレンズを外して裸眼で過ごすことができるという近視矯正法です、オルソ治療は可逆的で、装用を中止すれば角膜形状は元に戻り、以前のように眼鏡やコンタクトレンズの使用が可能です。また最近では「近視進行抑制効果」も注目され、日本でもガイドラインの改正とともに慎重にではありますが、学童への使用が広がっています。
 注意点として、強度近視は完全矯正できません。加齢によって角膜の硬度が変化し矯正できないこともあります。また、治療中に角膜上皮障害などの不具合があれば速やかに受診をして、専門医による定期検査が必須です。
 「レーシック」は、エキシマレーザーによる角膜屈折矯正手術で、もっとも歴史が長く屈折矯正手術のスタンダードといえます。NASAや米国国防省でも認められ、世界中で広く行われています。日本では、10数年前に特定施設での合併症が多発し報道された影響で症例数が一時的に減少していましたが、最近はわが国の多施設の治療実績が論文で公表され、レーシック治療の安全性と有効性が示されたことで再び認知されつつあります。
さらに近年では、iDesign®という検査機器によるiLASIK®技術の導入で、より精密に角膜や眼球の構造を解析することで、高度なオーダーメイドの近視治療が可能となりました。注意点として、重度のドライアイや角膜の薄い症例、強度近視の場合は治療できません。
 「アイシーエル(ICL)」は、特殊なコンタクトレンズを虹彩と水晶体の間に挿入し、近視を矯正する手術です。強度近視や角膜の薄い症例にも適応できるため近年症例数が増加しています。注意点として、治療のガイドラインでは強度近視(-6D以上)が適応です。また、目の構造、例えば浅前房、角膜内皮細胞減少の症例では治療できません。
 以上、最近の近視矯正法について紹介しました。いずれの方法も保険診療の適応外となります。屈折矯正のガイドラインに従って、それぞれの治療法の適応や注意点があります。治療を希望されている方は、それぞれのメリットとデメリットについてよく主治医と相談し、ご自身に合う治療法を検討していただければと思います。