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低温やけどについて

2021年12月3日

 寒い季節になると、移動させやすい暖房器具、寝具の中で使用する器具、携帯できる暖房グッズを利用することが多くなります。しかし、その使い方を間違えると低温やけどを起こすことがあります。
 低温やけどは少し触れるだけではやけどにならない温度(40~45℃)で、長時間接触し続けた時に生じます。一般に、44℃では6時間程度の接触で低温やけどを生じると考えられています。ここでは、冬の日常生活の中でしばしば経験する低温やけどの3つのケースを紹介します。
 火だこは電気ストーブや温風ヒーターの熱の効果(あるいは影響)を、同じ方向から繰り返し受けた部位に生じる低温やけどの1つです。いつの間にか、すねやふくらはぎ、太ももなどに赤褐色で網目状の皮疹ができて気づくことが多く、痛みやかゆみはありません。腰かけた状態で暖房器具を足元や膝の近い場所に置き、日常の生活(作業、勉強、読書など)をしている間に起こることが多いようです。熱の効果は衣類越しにも生じ、気づいた時には低温やけどは完成された状態です。日頃から、暖房器具との距離をとっておくことが唯一の予防法といえます。
 就寝中に起こる低温やけどの原因には、電気あんかと湯たんぽがあげられます。足、すね、膝は皮膚のすぐ下に骨があるため、器具に足を乗せた状態や挟み込んで寝入ってしまった時には、一晩で低温やけどが起こります。器具と皮膚との接触面は狭くても足の重みが加わると、やけどの範囲は小さくても影響は深くにまで及んでいる可能性があります。やけどの部位に水ぶくれができたり赤く変色した場合には、その後、潰瘍と呼ばれる深い傷に進行することがあり、治るのに時間がかかります。特に体の動きに不自由のある方や乳幼児、傷の悪化しやすい糖尿病の方は器具の使用には注意が必要です。
 また、冷え性の方は手元、膝元、足元に器具を置きがちですが、あらかじめ寝具を温めておき就寝時には外に出すのが安全な使用法です。
 就寝中の低温やけどのもう一つの原因に貼り付け型カイロの外し忘れがあります。このタイプのカイロは40℃以上を12時間程度維持する商品も多いようです。腰部は衣類に固定しやすく、温熱効果を得やすい部位ですが、就寝時にはカイロが同じ部位に密着する可能性が高く、低温やけどを起こしやすくなります。ひりひりした痛みや水ぶくれを生じますが、あんかや湯たんぽよりは軽症の場合が多いようです。
 低温やけどの予防は、暖房器具との距離を十分にとり、寝具の中では直接触れないことが基本です。「ちょっと熱いかな」と感じたら、低温やけどを思い出して下さい。