病気について知る病気の解説

進歩する関節リウマチ治療

2021年10月27日

 最近ではテレビや書籍でも関節リウマチの特集をよく見かけるようになりました。皆さんの関心が高まっていることをうれしく感じております。
 関節リウマチは免疫の異常により関節が壊れる病気です。免疫は細菌やウイルスなどに対する抵抗力として身体に有益に働きますが、関節リウマチでは免疫が自分の体、特に関節を敵と誤認して攻撃してしまう病気です。日本では70万人の患者がいるといわれていますが、近年の検査や診断技術の進歩により、実際はもう少し多いと考えられています。 30~50代の女性に多く見られますが、若い方や高齢者など幅広い年代での発症があること、5人に1人は男性ということも忘れてはなりません。発症には遺伝が関係しているといわれていますが、家族が関節リウマチだからといって必ずしも自分が罹患するということではなく、発症には喫煙や歯周病といった環境因子の関与が分かっています。関節の破壊は特に発症早期に急速に進行するため、なるべく早い診断と適切な治療開始が必要です。
 初期の症状で多いのは朝起きたときの手指がむくんだようなこわばり感です。同様の症状は足の指にも表れます。その後、関節が腫れて痛みが生じてきます。膝や肩、肘など大きい関節にも症状が表れる方もいます。進行すると関節が破壊されることで見た目にも変形をきたし、日常生活に支障が出てきます。また間質性肺炎など、関節以外でも注意を要するものがあります。
 恐ろしく感じる人もいるかと思いますが、従来の抗リウマチ薬に加え、20年ほど前からは免疫抑制作用がある抗リウマチ薬「メトトレキサート」や生物学的製剤、JAK阻害薬が使用可能となり、症状改善のみならず関節の破壊・変形の進行も抑えることが、より可能になってきました。もちろん薬剤は定期的な診察・検査をしながら注意して使用するものですが、関節リウマチの治療は以前と比較して飛躍的に進歩しています。
 不安な関節痛がある時には、まずは近くの整形外科やリウマチ科にお気軽にご相談ください。(毎日新聞10月27日付)