病気について知る病気の解説

ぶどう膜炎ってどんな病気?

2022年3月4日

 白目が真っ赤に充血し、かすんで見えにくくなったことはありませんか? それはもしかしたら「ぶどう膜炎」かもしれません。
 ぶどう膜とは目の中の組織名で、虹彩(茶色目:黒目の中のドーナツ状の茶色の部分)、毛様体(虹彩の裏側の部分で、目の中を循環している水を作っている)、脈絡膜(網膜の裏にある茶色い膜で、網膜を栄養している)の3つをあわせたものです。
 このぶどう膜に炎症が起こる病気を総称して「ぶどう膜炎」といいます。原因はさまざまありますが、感染によるものとそうではないものの2つに大きく分けられます。しかしながら、全体の約1/3は詳しく調べても原因が特定できません。
○感染性ぶどう膜炎
 細菌・ウイルス・寄生虫・真菌(カビ類)などにより引き起こされます。感染の原因によって治療薬が異なるので、原因となっている微生物を特定することが非常に重要です。
○非感染性ぶどう膜炎
 免疫システム(体の防衛能力)の異常により引き起こされます。「免疫」とは本来、外から入ってきた細菌やウイルスなどを「異物」と認識して排除するシステムですが、これが狂うと自分自身の体の細胞を「異物」と勘違いして攻撃することがあり、さまざまな体の不具合をもたらします。
 免疫異常によるぶどう膜炎には、サルコイドーシスや原田病、ベーチェット病などがありますが、糖尿病や関節リウマチなどの全身性疾患の一症状として起こることも多いため、血液検査や画像検査(レントゲンやCTなど)など全身の検査を行う必要があります。
 自覚症状としては、結膜(白目)の充血、目の痛み、目のかすみやまぶしさ、流涙、飛蚊症(黒いすす、虫、蚊、汚れのようなものが見える)、変視症(ゆがみ)などが生じます。また全身性疾患によるぶどう膜炎では、さまざまな全身症状を伴う場合もあります。 ぶどう膜炎の治療方針を決めるためには、まず原因を検索することが重要です。感染性ぶどう膜炎の場合には原因となっている微生物に対する治療と、感染により二次的に起こる炎症に対する治療を行います。非感染性ぶどう膜炎の場合は、ステロイドという炎症を抑える薬剤を局所(点眼や目の注射)または全身的(内服や点滴)に投与します。
 ステロイドは副作用が多く怖い薬である印象を持っている人が多いかもしれませんが、炎症を抑える力は強く、ぶどう膜炎の治療にステロイドは欠かすことはできません。必要以上にステロイド薬を怖がらず、うまく活用していくことが重要です。
 ぶどう膜炎は、初期の適切な診断と治療が、より良い予後のために大切です。ぶどう膜炎は再発や慢性化する場合も多いため、本人だけではなく、家族も病気を十分に理解して、根気強く治療を続けていきましょう。