病気について知る病気辞典

妊娠中の放射線被曝(ひばく)と胎児への影響

2012年9月6日

福島原子力発電所の事故以来、放射線障害に関心が高まっています。
特に妊娠中の方は気にかかると思います。放射線の胎児への影響は①催奇形性と脳への障害②発がん性の問題③遺伝的な問題があります。

①受精後10日以内に受けた放射線は、影響を考慮する必要がありません。それ以降、妊娠10週までは50mGy(ミリグレイ:被爆線量の単位)未満の放射線量は安全とされています。表は放射線検査時の胎児の受ける線量ですが、通常は50mGy未満で安全です。1Gy以上の高線量では、胎児への影響が報告されています。脳への障害は、妊娠10週以降も生じます。線量が増えると、発生率は増加しますが、100mGy以下ではIQ(知能指数)の低下は確認されていません。

②胎児が放射線を受けた場合には、小児がんの発生頻度はわずかに上昇します。しかし通常、胎児が20歳までにがんにならない確率は99.7%に対し、胎内被曝が10mGy、100mGyではそれぞれ99.6%、99.1%で個人レベルでの発がんリスクは極めて低いと考えられます。

③遺伝的な影響も考えられますが、放射線被曝によるヒト遺伝子変異が不都合を起こした事例は確認されていません。

妊娠中の放射線被曝を最小限にすることは重要ですが、過剰な心配により必要な検査を受けずに疾患が重篤化したり、また妊娠の中絶を選択することがないようにと考えます。

検査方法 平均被曝線量(mGy) 最大被曝線量(mGy)
単純胸部X線撮影 0.01以下 0.01以下
単純腹部X線撮影 1.4 4.2
単純骨盤部X線撮影 1.1 4
下部消化管造影検査 6.8 24
胸部CT検査 0.06 0.96
腹部CT検査 8.0 49
骨盤部CT検査 25 79