病気について知る病気辞典

進行・再発がんを患った際の療養方法について〜質の高い生活を自宅で送るために〜

2012年10月6日

平成23年 “がん”による死亡数は35.7万人で、日本の死因の第1位を占めています。
国民の2人に1人が“がん”にかかる今、がんを克服するためには、予防・早期発見・早期治療が重要ですが、診断時にすでに病変が広い範囲に進展している進行がんや、治療後の再発がんでは、がんそのものを治すことは困難になります。

進行がんを患った場合は、手術・抗がん剤・放射線などの積極的な治療により、元気で過ごせる期間を少しでも長く延ばすとともに、痛みなどを和らげる緩和治療により苦痛を軽減することにより、診断から治療のすべての時期を通じて、患者さんとそのご家族が少しでも質の高い生活を送れるようにすることが目標になります。

診断から積極的治療の時期
がんの治療というと、入院して行われるイメージが強いと思いますが、現在、手術以外は、外来での治療も可能になってきています。抗がん剤の治療・放射線治療も外来で行われることが多くなり、普段通りの生活を続けながら治療を受けられるようになりました。

一方、外来での治療の場合、入院に比べ医療者と接する時間が短くなるため、十分に療養相談ができない、副作用への対応の遅れ、などの問題があります。そのような場合、自宅近くの身近な医療機関が、積極的治療を行っている基幹病院と連携をとって、がんかかりつけ医として機能すれば、細やかなサポートが可能となってきます。治療中の心配事、ちょっとした体調の変化などを気軽に相談に行ける場があれば、少しでも苦痛を和らげる手助けとなるはずです。

緩和ケア

広い意味での緩和ケアは、がんと診断された当初から療養のサポートを行っていくことであり、緩和治療は積極的治療が終わった後でなく、もっと早い段階から行われるべきものです。

積極的治療の後の進行再発がんの緩和治療も、患者さん本人のご希望があれば、入院せず、在宅のまま自宅近くの診療所外来で受けることが可能です。この場合、医療保険で訪問診療・訪問看護を利用できるほか、介護保険サービスを利用して(65歳以上だけでなく、40~64歳であってもがんの末期であれば利用可能)、療養環境(ヘルパー導入、電動ベッド、車いすなど)を整えることができます。状態の良い時は外来を受診することもできますし、状態が悪化してきた場合には訪問看護、訪問診療などを病状に応じて取り入れ、最期まで自宅療養を行うことも可能です。

自宅療養を選択した場合、ご家族の介護負担が増えること、入院に比べて急変時の対応に時間を要する、などの問題もありますが、何よりも、住み慣れた家でご家族との生活が送れることが利点です。

緩和ケアの目標は、患者さんとご家族の身体的・精神的な苦痛を少しでも減らし、社会的・経済的な支援を行いながら、診断から最期までの限られた期間をよりよい生活環境で過ごして頂くことにあります。

進行・再発がんの療養にあたっては、現在いろいろな選択肢があります。身近な医療者とじっくり相談しながら、それぞれの方に一番適切な方法が選択できることが望ましいと思われます。