病気について知る病気辞典

“てんかん”について、正しく知っていますか

2012年11月24日

今回のテーマは“てんかん”です。「ちょっと怖いなぁ」「私には関係ないわ」とお思いになるかもしれません。
まず、“発作”と聞くと、どのようなイメージが湧いてきますか?“喘息発作で呼吸ができなくなる””心臓発作で胸が苦しくなる””その場でバタンと倒れる””急に叫びだす”などいろいろな“発作”があるでしょう。

実は、失神・片頭痛・心因性発作などと同じく、てんかん発作もこのような“発作性事象”の1つです。全身けいれん発作ともなると、「泡を吹いて全身をガクガクさせていた」と表現されるように、周りの人は驚き、「先生、大変です!」と病院に駆け込むことでしょう。一方で、そばで見ていても分からないような、とても静かなてんかん発作もあります。少しボーッとしているだけで、本人に何度も確認しているうちに、ようやく“ちょっとした記憶の空白”に気付くということがあるのです。さらに、本人は発作があったことを想い出せないという場合も少なくありません。

最近テレビに取り上げられ、話題になりましたが、「近頃、なんだか物忘れが目立つなあ」と心配されていたご高齢の方が、実は認知症ではなく、てんかん発作だったということもあります。また、意識はしっかりしていても、てんかん発作が繰り返し起こっている場合もあります。「なんとなく、懐かしい気持ちになる(例/会話中に、この内容は以前にも話した気がする)」「急に、周りの音が聞こえにくくなる(あるいは大きく聞こえるようになる)」「ときどき吐き気を自覚するけれど、しばらくしているうちに治ってしまう(“こみ上げてくるような不快感”と表現される方が多いです)」など、様々です。

これらのように皆さんが、日常生活でよく経験されるような症状がほとんどで、てんかん発作かどうか区別がつかない場合も多いのです。脳波検査や画像検査の結果から考えられる焦点(てんかん発作の原因となる部位)と照らし合わせ、矛盾なく説明できるようなら、てんかん発作である可能性が高くなります。

てんかん発作は、脳の興奮によって繰り返し起きる症状です。けが・脳梗塞・アルツハイマー型認知症、脳腫瘍、奇形、など原因を数え上げればきりがありません。もちろん原因がわからない場合(あるいは遺伝的性質のもの)もあります。

てんかん外来の大切な役割は、まず、このような原因を見つけること、正しいてんかん診断(分類)を付けることです。てんかんの治療を始める場合、原因が脳の左右に広く存在するような“全般てんかん”と、どこか脳の一部に焦点が存在するような“局在関連(部分)てんかん”とに分類されます。このような二分法は昔からの考え方で、現在はいくつかの異論がありますが、今後の経過を予測するうえで、また何より治療薬を決めるためにこれらの分類は重要です。「てんかんだから、昔からこの薬を飲んでいます」では困ります。

てんかん患者さんは、「脳が敏感であるため、“ほんの少し、興奮しやすい状態”にある」わけです。多くの患者さんは、適切な治療により発作は消失します。怖がったりしないで、専門の先生にしっかり診ていただきながら、副作用のないお薬を処方してもらってください。“ねむけ”も立派な副作用ですから我慢なさらないでください。また、お薬が効きにくい場合、外科治療で治せる時代になりました。「手術」と聞くと少し怖いかもしれませんが、色々な薬や治療方法が選べますから、主治医の先生に詳しく尋ねてみてください。

最後に、進学のこと・運転免許の取得・就労における問題点・出産時の心配・保険加入の制限など、患者さんやそのご家族の抱える問題点は、発作だけではありません。てんかん協会にも相談の窓口があります。しかし、松山市でも、これらのことを含めた包括的な治療や相談場所を提供できるような体制づくりが急がれるべきと思います。