病気について知る病気辞典

小児のヘリコバクター・ピロリ感染症

2013年2月1日

年長児の消化性潰瘍に高い感染率

ヘリコバクター・ピロリは、人間の胃に感染して胃炎を起こす細菌で、その持続感染により、全感染者の2~3%が胃・十二指腸潰瘍を、0.4%が胃がんを発症すると推測されています。

日本では、1950年以前に出生し、衛生環境の悪い時代に小児期を過ごした世代の感染率は、70%以上と非常に高率ですが、衛生環境の改善により感染率は低下し、最近の小児の感染率は5%以下になっています。

ピロリ菌の感染は、乳幼児期(ほとんどが2歳以下)に起こり、除菌されない限り、生涯にわたって胃にすみ続けます。便から口へ、または口から口への感染が主であり、経路として、井戸水などの飲み水を介した感染、家族内感染が知られています。家族内感染では、母親からの感染(母子感染)の割合が高く、母親がピロリ菌陽性の場合は、10%強の子どもにピロリ菌が感染したという報告があります。

ピロリ菌に感染しても、多くの小児は無症状で経過します。小児でよくみられる反復性腹痛とピロリ菌との関連性はないといわれています。
消化性潰瘍については、小児の十二指腸潰瘍の約80%、胃潰瘍の約40%でピロリ菌感染が証明されており、10歳以上で関連性が認められています。
消化管以外の病気では、特発性血小板減少性紫斑病、原因不明の思春期鉄欠乏性貧血がピロリ菌によって起こり、除菌治療がこれらの病気を改善することも明らかにされています。

ピロリ菌感染を調べる検査として、成人では内視鏡検査による組織診断や細菌培養が行われますが、内視鏡検査が困難な小児では、便中抗原測定法や尿素呼気試験が行われます。

小児でも成人と同じ薬剤を使った除菌治療がありますが、5歳未満の小児は、治療で除菌できても高率に再発するため、除菌治療を行いません。5歳以上でも、ピロリ菌が見つかった小児全員に治療をするわけではありませんので、治療をするかどうかは医師の指示に従ってください。