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小児感染症の迅速診断についてご存じですか? 〜 インフルエンザを中心に 〜

2013年3月23日

近年、感染症を早期診断するのに有用な「迅速診断」キットが多数登場し、治療や感染拡大防止などに有効利用されています。
小児においては、代表的なインフルエンザウイルスをはじめ、RSウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、A群溶連菌等がよく検査されております。特にインフルエンザ流行時期には、発熱があれば患者さん側から検査希望されることも多いものです。ただしこの時、注意すべき点がいくつかありますが、特にご存じいただきたいのは、“迅速診断は有用であるが、絶対ではない”ということです。感染していても陰性と出ることもあります。

よくあるのが、学校・幼稚園で発熱したため検査してもらうよう言われ、すぐに受診しましたという例です。
迅速診断はウイルス抗原をとらえて検出するものなので、感染初期のウイルスが増殖していない段階で検査をしても陽性になりません。発病6時間以内よりは6時間以降、12時間以内よりは12時間以降の方がより正確な診断ができます。

従って、発熱後早期に迅速検査をして陰性と診断されても、それは偽陰性かもしれないということになります。翌日もう一度検査すればいいと思われる方もいるかもしれませんが、二度手間ですし、保険診療上の制約もあります。何よりお子さんにとって検査は苦痛を伴うものですから、一度で済ませたいものです。

その他、インフルエンザの迅速診断キットの感度に影響するものとして、B型よりA型、成人より小児、微熱より高熱、鼻汁量が少ないより多い方が感度が高いとされています。つまり少し微熱くらいでは陽性にならないかもしれないということです。検査を希望されて受診する場合は、焦らず時間と熱の出方等を考慮して受診することをおすすめします。

また、家族にインフルエンザと診断された方がいて、熱が出たので検査してくださいという例もあります。
インフルエンザは、検査しないと診断されないわけではありません。迅速診断はあくまでも補助的なものです。家族内あるいは学校で大流行があり接触が明らかで、インフルエンザ様症状があれば検査をしなくてもインフルエンザと診断されます。
仮に検査して陰性と出た場合でも、抗インフルエンザ薬を処方されないというケースはまれでしょう。それならば検査は必要ないということになります。ただ抗インフルエンザ薬の乱用はよくありませんので、高熱で症状が強い場合ということになります。それは医師の判断にお任せください。

その他の迅速診断に関して、A群溶連菌は抗生剤でしっかり治療する必要があり、早期診断が必要です。アデノウイルスは高熱が持続しますが、逆に抗生剤が不要のため早期診断で安心できます。

乳幼児期に重症になりやすい、RSウイルスや冬季嘔吐下痢症の代表的なノロウイルスの迅速診断は、保険診療上の年齢制限がありますが、早期診断でそれなりの対応ができます。医学の進歩に伴い、今後もいろいろな迅速診断ができるようになると思いますが、上手に利用していきたいものです。