病気について知る病気辞典

軽い動作でも息切れする、せきやたんが続く…その症状、COPD(慢性閉塞性肺疾患)かもしれません

2013年4月20日

重症になると、家庭での酸素吸入が必要なことも。早い段階で診断・治療を開始して、健康的な生活を

階段の上り下りなど、体を動かしたときに息切れを感じたり、風邪でもないのに、せきやたんが続いたりすることはありませんか。
現在もしくは過去に喫煙していた方で、このような症状があれば、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の可能性があります。聞き慣れない病名かもしれませんが、これまで使用されていた慢性気管支炎や肺気腫という病名を総称した病名です。
COPDは別名“肺の生活習慣病”とも呼ばれ、心臓や胃腸、腎臓の病気、糖尿病などと併存することも多く、全身の病気として注目されています。

症状としては、しつこく続く慢性のせきやたんの他、歩行や階段の上り下りなど、身体に負荷がかかったときに強くなる息切れが特徴的です。気管支喘息が合併すると喘鳴(呼吸がぜいぜいする状態)を伴うこともあり、進行すると息切れを感じた時に、意識的に口をすぼめて呼吸をしたり、爪がばち状に変形したり胸の形がビヤ樽のような形になることもあります。

診断はレントゲンやCT検査とともに、スパイロメーターという機器を使った呼吸機能検査で行います。肺活量と息を吐くときの空気の通りやすさを調べる簡単な検査ですが、COPD患者さんでは息を吐く力が低下しています。

COPDは大気汚染や職業的な塵埃、化学物質などが原因となることもありますが、原因の90%以上がタバコです。喫煙開始の年齢が若いほど、また1日の喫煙本数が多いほど、COPDになりやすく進行しやすいと言われており、また受動喫煙によってもCOPDを発症することがあります。そのため治療の第一歩は禁煙です。COPDになってからでも、禁煙後2年以内には呼吸機能の低下のスピードが喫煙していない人と同じになるため、いつ禁煙しても遅いことはありません。禁煙を助けるための薬は薬局で購入することもできますし、飲み薬を使った禁煙治療も医療機関で受けることができます。

症状に応じて、気管支をひろげて呼吸を楽にする薬や痰をとる薬などを使用し、進行すると家庭での酸素吸入が必要となることもあります。日常的に行える治療としては腹式呼吸などの呼吸訓練、散歩などの運動療法、良質のタンパク質の摂取などの栄養管理も大切です。

またCOPDを悪化させないためには、感染症の予防がとても重要です。現在、呼吸器の感染症に関連するワクチンには、インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの2種類があり、インフルエンザワクチンはすべてのCOPD患者さんとその家族、介助者に、また肺炎球菌ワクチンは、特に65歳以上や呼吸機能の低下が強いCOPD患者さんに接種をおすすめします。

40歳以上の日本人のうち、10人に1人がCOPDの疑いがあると報告されていますが、病名が一般的に知られていないこともあり、実際に治療されているのは5%程度と言われています。重症になり診断されるケースが多いのが現状で、より早い段階で診断、治療ができていないことが問題となっています。
最近では呼吸機能検査で「肺年齢」も出るようになり、肺の健康のバロメータとして身近になっています。歳をとると多少息が苦しいのはしょうがないとあきらめずに、少しでも早い段階で病気に気づき治療を受け、同年代の健康な人と同じような生活を送っていただけたらと思います。