病気について知る病気辞典

子どもの近視をなるべく進めないために〜学校から視力検査の結果をもらったら〜

2013年6月29日

「ゲームやスマホをする時も、適度な距離で、時間を決めて遊びましょう」

春を過ぎたこの時期になると、子どもさんが学校から視力検査の結果をもらってきたことをご経験の方も多いかと思います。徐々に近視の子どもが増えてきていることは学校保健の統計でも示されていて、特に幼稚園や小学校では視力1.0未満である子どもの割合は30年前と比べて1.6倍以上になっており、幼い頃から近視の進行が始まっていることが分かります。

急に視力が低下したことを心配されることがよくありますが、多くは時間をかけて落ちてきているものです。眼の使い方が悪くて急に1~2週間で見えなくなったのであれば病気の可能性がありますが、1.5あった視力が数年で0.1近くになってしまうことや、学期の間に視力が半分になってしまったことなどは、私たちが診察していてよく経験するものです。

学童期に近視がなぜ進行するかについては、長らく議論や研究が行われてきました。未だに確立された結論はありませんが、最近の研究では、眼球の奥行きが大きくなる事で起こる部分が大きいことが分かってきました。さらに、遺伝の影響が強いこと、近くを見すぎる環境であるほど速く進むこと、屋外活動が多いことで進行が抑制される事などが示されています。

治療法についてのお尋ねも多くあります。現在行われているものとしては、調節力をゆるめる点眼を毎日行ったり、ピントを緩めるレンズを眼鏡に使用したりといったものがありますが、いずれも大きな効果がある方法にはなっていません。将来的には、現在のものより効果がある、特殊なレンズや治療法が開発される可能性はありますが、それを待っていては今の子どもたちは大人になってしまいます。

「訓練で視力が回復する」といった、親心をくすぐるものもあります。確かに、姿勢が悪かったり、ものを見る距離が近いなどの悪い使い方をしないようにすることは重要ですが、それで視力が回復することはありませんし、視力が回復するような状況ならそれは病気なので、治療しないといけないものです。

早いうちにしっかり近視を矯正した方が進行しにくいとの研究結果も出てきています。眼鏡をかけたら近視が進むと思っておられたり、見た目を気にして眼鏡をためらっておられる方も多いですが、眼球のかたちが変わりやすい学童期に、近視の進行をなるべく抑えることが重要です。

まずは姿勢を正しく、きちんとあった眼鏡をかけ、インドアばかりではなく青空の下での活動を行うといった、昔から言われていることをしっかり続けていくことが一番大事だと思います。