病気について知る病気辞典

CT検査と放射線被ばくについてー よくある質問を元にお答えします ー

2013年7月27日

【質問】
60歳になる母の事でおたずねします。肺がん検診で引っかかり総合病院を受診しました。胸のレントゲンを撮った後、胸部CTを受けました。肺に「かげ」があるとのことで、担当医に「CTで様子を見ましょう」と言われ、3か月後、半年後と続けてCTを撮っています。検診もCTだったようです。
何度も何度もCTを撮る理由は何故か、体は大丈夫なのか、年に何回まではCTを撮っていいのものなのか、教えてください。

お母さまの肺の「かげ」に関しては、文面から類推すると、おそらく良性(がんではない)の「かげ」と推測されるものの、悪性(肺がんなど)の可能性が万に一つないとも言い切れない「かげ」で、念のためにCTを何度か撮って経過で小さくなる、もしくは変わりがない(すなわち、がんではない証拠)のを待っている途中のケースと思われます。以下、この想定に沿ったお話をします。

初診時から肺がんなどが強く疑われるケースでは、こういったCTでの経過観察は行われず、気管支鏡検査や生検といった次の診断、治療過程に進みます。逆に悪性の可能性が全くない「かげ」ならば、やはりCTでの経過観察は行われません。

では、CTを何度も撮ることの利益は何でしょうか。CTでは「かげ」の非常に細かな形や大きさ、濃さの変化をとらえることができます。さらに時間経過を合わせて診断することで、こういったグレーゾーンの「かげ」が、「がん」かそうでないかを判断することができます。

例えば、「肺に『かげ』がある。がんかもしれない。では手術しましょう。結果、がんではありませんでした」。ひと昔前までは「良かった、良かった」となる話ですが、現在では、手術や麻酔のリスクも考えると「不必要な手術」で体に大きな負担をかけたとの反省は否めません。もちろんこういった、放射線診断が非常に困難な「かげ」は今でも決してゼロではありませんが、放射線機器の進歩によって以前より間違いなく減っています。

またCT検診では、胸部レントゲンではとても見つからないような初期の肺がんを見つけることもできます。このように、CTをはじめとする放射線検査は、患者さんに大きな利益をもたらしており、患者さん、ご家族にも安心を与えていることを、まずご理解ください。

次にご心配の放射線の影響ですが、特に発がんについては、広島、長崎の原爆被ばく者のように、一度に大量の放射線をあびると、発がんの増加が認められますが、数回の胸部CTの放射線量はわずかで、それが原因でがんになる事は決してありません。また、間違えやすいのですが、放射線の影響は身体に蓄積するものではありません。放射線は「光」の一つで紫外線と似ています。一度に全身が真っ赤に日焼けした人は大変でも、少量の日焼けをしてもしばらくすると元に戻るように、人の体にはしっかりとした修復機構があります。また、撮影部位以外での被ばくは無視できる程度です。

「年に何回までは…」という制限は、医療の世界にはありません。逆に、病気を疑っているときには必要に応じて何度も放射線検査を行うことが、病気の早期発見、治療につながります。医師の指示に従って、放射線検査をお受けください。