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ダニによる感染症をご存じですか?〜 ダニ(特にマダニ)のお話し 〜

2013年8月10日

ダニは昔から嫌な虫の代表とされてきました。しかし、人畜にたかって吸血するのはごく一部で、大部分は無害です。地球上のあらゆる場所に生息し、わかっているだけでも全世界に約3万種、日本には約1500種いると言われています。実際にはもっと多いと思われます。

日常的なものは、ネズミにわくイエダニ、畳に生息するツメダニ、スズメの巣などに生息するトリサシダニ、人の皮膚に寄生するヒゼンダニ(疥癬)、ネコに寄生するネコショウセンコウヒゼンダニ、犬の耳に寄生するイヌミミヒゼンダニなどがいます。症状は病変部の赤いブツブツや強いかゆみが特徴で、全身症状はありません。これらのダニは1.0mm以下で、ほとんど肉眼では見ることができません。

ダニを介して全身症状を伴う感染症には、これまで日本紅斑熱、ライム病、つつが虫病などがありました。日本紅斑熱は、マダニ(主にキチマダニやフタトゲチマダニ)が媒介するリケッチャ症です。ライム病は、マダニ(主にシュルツェマダニ)が媒介するスピロヘータのボレリア菌による感染症です。つつが虫病は、ダニの一種であるつつが虫が媒介するリケッチャ症です。これらの感染症はテトラサイクリン系の抗菌剤がよく効き、早期に治療すればほとんど治ります。

ところが今年の1月に山口県で国内初めて、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の患者の感染死亡例が確認されました。SFTSの原因は、フタトゲチマダニなどのマダニによるウイルス感染症だという事がわかりました。死亡率の高さから急にマダニが注目を集めるようになりました。今年の6月24日現在の国内感染報告例は24人(うち10人死亡)、愛媛県では5人(うち2人死亡)と、全国でも最も多くなっています。SFTSは今のところ有効なワクチンや治療薬はなく、対症療法が中心です。

マダニは、5mm前後の小豆粒くらいなので見ることはできますが、吸着時にほとんど症状がなく、気づかれない事が多いようです。マダニは湿った土や草の所でしか生きられないため、咬まれる機会は限られています。マダニの活動の盛んな春から秋にかけての野山への外出は、注意が必要です。草むらやヤブでは長袖、長ズボンで肌をかくし、帰宅後は、肌や衣服にマダニがいないか確認する事が重要です。肌に吸着しているのを見つけた場合は、無理に取らず、医療機関を受診し、取ってもらうことをすすめます。無理に取ろうとすると、口の部分が皮膚内に残ったり、マダニの体内の病原体を人側に注入することにもなりかねません。

SFTSに感染すると、6日~2週間の潜伏期の後、発熱、倦怠感、消化器症状(嘔吐、下痢)などの症状がでます。マダニに咬まれても必ず感染するわけでもなく、こうした症状がでた時は、他の病気の可能性もあるので、早急に医療機関を受診するようにしてください。