病気について知る病気辞典

皮膚の傷の湿潤療法について

2013年10月1日

傷をよく観察して。感染症には注意を

擦り傷・切り傷など皮膚の小さな傷は、とりあえずは自宅で治療する人が多いと思います。化膿(かのう)予防のため、まずは消毒をするのではないでしょうか。

消毒液の殺菌作用は、細菌のタンパク質を変性させますが、同時に人の細胞にも障害を起こすため、傷の治りが良くなるとは言えません。その殺菌効果も、傷の表面に存在する有機物などが影響して、実際にはあまり発揮されていないこともあるようです。それに対して水道水による傷の洗浄は、細胞への障害性が少なく、感染予防に十分な細菌除去効果があり、砂などの異物除去も期待できます。擦り傷・切り傷のとりあえずの自宅処置としては、消毒よりも水道流水で十分に洗ったほうが良いといえるでしょう。

洗った後には、軟こうなどを塗ることも多いかと思いますが、最近は「湿潤療法」という方法が広がってきています。湿潤療法に使用する創傷被覆材は多数市販されており、テレビのCMなどで見たことがある人も多いでしょう。これは「傷からの浸出液は傷を治そうとする成分を含んでいるので、適度な湿潤状態を保つと傷の治りが良い」との考えに基づいて、特殊な素材の被覆材で傷を覆う方法です。早くきれいに傷が治ることが多く、理想的な治療法です。ただし、誤って用いると傷に悪影響を及ぼすこともあります。傷を密封してしまうので、感染が最も問題になります。感染リスクの高い傷(動物咬傷(こうしょう)、土壌などの汚染創、とげなど異物混入の可能性が強い傷、壊死(えし)組織が残っている傷など)には用いないほうが良いでしょう。

湿潤療法は良い方法ですが、しっかりと傷を観察したうえで行うべき治療法です。感染症を併発した場合は、抗生剤などの治療が必要になります。実施中に少しでもおかしいと感じたら、自己判断はしないで、病院を受診されることをお勧めします。