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高次脳機能障害について

2014年1月1日

怒りっぽい?引きこもり?なにか人が変わったようだ

「高次」の脳機能とは、人にだけ用いられる医学用語です。どんなに利口なペットでも「高次」脳機能は備わっていません。それは、言語や記憶、感情など複雑な脳機能を指し、人間性や社会性に大きく関わります。

ある日を境に、突然身近な人の性格が一変してしまったらどうでしょう。高次脳機能障害という病態では、穏やかで真面目だった人物が、急に怒りっぽくて、怠慢になるなどの性格変化が表れたりします。これらは日常生活や社会生活に支障を来すため、家族や周囲の人たちは大変心配しますが、本人自身はあまり深刻に受け止めないことも特徴です。

高次脳機能障害は、脳損傷により生じる認知機能の障害です。大きな医学的概念では、アルツハイマー病などの認知症も含みますが、一般的には加齢に伴う老人性変化は除外します。交通事故やスポーツ外傷などによる頭部外傷、脳梗塞などによる脳血管障害、窒息や一酸化炭素中毒などによる低酸素状態が代表的原因です。

主な症状に「記憶障害(物忘れ)・注意障害(集中できない)・遂行機能障害(要領を得ない)・社会的行動障害」の4つがあります。いずれも程度や出現時期に個人差があり、一様ではありません。ただ、これらの中で特に対応が難しいのが社会的行動障害です。

社会的行動障害では、意欲や自発性が低下して何もしようとせず、家族が励ましても仕事や学校を辞めてしまい、閉じこもることもあります。対人関係を維持する能力が障害され、過度に相手に甘える依存性や、逆に、こだわりが強くなる固執性が出現します。情動面では、いわゆるキレやすく(易怒性)なり、場にそぐわない行動(脱抑制)が出現します。このような反応が周囲を戸惑わせます。

高次脳機能障害は、身体疾患と異なり、外見からは分かりにくく、本人の自覚もないため「気付かない・見えない障害」と言われます。何かのアクシデント後に身近な人の変化に気付いたら、専門医療機関に早めにご相談下さい。