病気について知る病気辞典

最近のがん治療事情と放射線治療について

2014年3月15日

胸のX線写真などを撮るのと同じような放射線を使って、がんの治療も行われていることをご存じでしょうか?

今日は、この放射線を使ったがん治療(放射線治療)についてご紹介します。

最近のがんにかかる率は、超高齢化社会も相まってますます高くなり、2人に1人はがんにかかる時代になりました。「そんなに…」とも思いますが、実際に周りの親戚などを見回してみても、確かにそうかと思われるふしもあるでしょう。しかも、「”がん”になったと、とても心配した昔を忘れ、何もなかったかのような普通の生活をしている」ことも多いのは、医学の進歩によるところが大きく、実にありがたいことです。それでも未だ全体でいえばがんになった人の半分を越える人は、この病気で命を落とすことも事実です。

がん診療はこの20年間で大きく変化しました。日本では元々、手術万能主義が主流を占めてきました。抗がん剤治療や放射線治療は肩身の狭い思いをしながらやってきました。特に世界唯一の被爆国として、放射線に対するアレルギーのようなものは、医者の中にも一般国民の中にも強かったように思います。しかし最近では、少しずつ事情が違う分野も見られるようになりました。

これを見事に示すのは放射線治療を受ける患者さんの数です。当院においては、10年前と比べれば、その数は3倍に増えております。これにはいろいろな要因がありますが、最も大きなものは科学的根拠(治療法を比較し、よりよい治療を探した結果)に基づいた医療であったと思います。今まで長年の経験と勘に頼った医療から、根拠に基づく医療へと変化して来ました。できるだけ多くの患者さんに最適な治療を提供しようとする方向です。この20年間に多くの根拠が示され、各学会からそれぞれのがんに対する診療ガイドラインとして出版されております。

以下、ガイドラインに記載されている,放射線治療に関するいくつかの例を記しました。
①子宮頚がんⅠ期,Ⅱ期の治療は、子宮摘出術あるいは放射線治療が推奨される
②乳房温存療法は、乳房切除術との比較試験で生存率に差はなく、乳房温存療法の適応を第一選択として強くすすめられる(Ⅰ期,Ⅱ期)
③切除不能進行肺がんに対して、抗がん剤を併用した放射線治療を行うようすすめられる
…などなど。

このように、最近では種々の治療法について提示があり、「さてあなたはどうしますか?」と問われることも多くなりました。「この治療がいいからこうしましょう」ということももちろんありますが、患者さんが治療を選択する時代になりつつあります。病院に行ってがんと宣告され混乱している所に、さらに追い打ちをかけて、「さて治療はどうしますか?」と聞かれても頭は真っ白になるばかりです。

じっくりと話を聞いて、納得のいく治療の選択ができればと願っています。今回の話がそのきっかけとなれば幸いです。保存しましょう。