病気について知る病気辞典

放っておくと失明することもある糖尿病網膜症

2014年11月22日

糖尿病と診断されたら、血糖コントロールと眼科検診を

“糖尿病を放置すると失明する”という話は、皆さんも聞かれたことがあるかと思います。検診で血糖値や尿糖が引っ掛かると、まず内科での精査をすすめられ、糖尿病が確定すると、眼科も受診するように言われます。

ただしその時点では、まだ普通に見えていて、痛くもかゆくもないことがほとんどです。働き盛りの頃に糖尿病を指摘されることが多いため、眼科受診のために時間の都合をつけることが難しく、ついつい放置してしまう人も見られます。

実はここが糖尿病網膜症の恐ろしいところです。糖尿病網膜症は早期から血糖をコントロールし、定期的に眼科で検査していればほとんどの人は発症せず普通の人と同じように眼を使っていくことができます。

しかし、発症しても出血や網膜剥離を起こすまでは、見え方が悪くならないため、眼科で検査しないと自分では進行に気づきません。出血する前であれば、レーザーで進行を抑えたり重症化する前に手術するなどできますが、進行してからだと元の見え方に戻すことは困難です。

網膜は、カメラでいうフィルムに当たる部分ですが、脳細胞と同じ剥き出しの神経線維と視細胞で出来ているため一度ダメージを受けると再生しません。出血や剥離で視細胞が死ぬと、その分明るさや色を感じにくくなってしまい、その影響は一生残ります。そのため早期の発見や治療が重要なのです。

糖尿病網膜症には分類があり、時期により治療法が異なります。
①網膜がきれいなうちは血糖さえ安定していれば、数カ月おきに診察するだけで何も処置しません。
②小さい動脈瘤や血管から滲み出た脂分が網膜にしみを作り出すと単純網膜症と言われる状態になります。この状態でもまだ、血糖をしっかり下げていくことで多くの場合、きれいに治ります。
③網膜の血管があちこち詰まってくると出血の危険性が増してきます。この場合の出血は眼内で起こるため、本人は見えなくなりますが充血や痛みはないため、外見からはわかりません。出血する前ならレーザーで出血や進行をある程度予防できます。レーザーは外来でできますが、レーザーをする前と比べると見え方が若干薄暗くなります。
④網膜の血管がほとんど詰まってくると、新生血管という異常な血管が伸びてきて次々と大出血を起こします。また、網膜の表面に増殖膜というベタベタした膜が広がり、やがて膜が収縮するとガムテープを剥がす時のように網膜を引き裂き、網膜剥離を起こします。ここまでくると失明の一歩手前です。大がかりな手術が必要ですし、治っても見え方は元通りにはなりません。

糖尿病網膜症は、一旦進行してしまうと最善の治療をしても元通りの視力には戻らず、免許の更新ができない場合も珍しくありません。

糖尿病を指摘された方は、ぜひお近くの眼科を受診してください。よく見えるうちから受診しておくことがポイントです。