病気について知る病気辞典

おなかが痛くて、おしりから出血があれば、どんな病気を考えますか?

2015年1月31日

「おなかが痛くて、おしりから血が出た」と驚いて病院に来られる方がおります。この場合、ほかの病気もありますが、まず、虚血性大腸炎という病気を考えます。

そこで、この病気のあらましを紹介いたします。まず、おなかの痛みですが、下腹部痛ないし左腹痛が多く、痛みの程度は人それぞれで違います。かなり痛がる場合と、よく質問すれば、痛いのかなあといった程度に差があります。おしりからの出血はほとんどの人に認められます。血だけが出たという場合もあれば、便と血が混ざって出てきたなど、やはり差がり、血の色も赤い場合と赤黒い場合があります。そして、便秘傾向で、今回、出にくくて、いきんで出したら、便が多く出て、その後から腹痛と出血がみられたという場合が多く、これらの症状があれば、おおむね診断がつきます。

診察では左下腹部を圧すと痛みを訴える方が多いようです。血液検査では白血球数が増加します。また、腹部CT検査にて虚血を起こした大腸の部位に炎症性変化を生じます。これで、多くの場合、診断がつきますが、最終診断は緊急内視鏡検査です。

治療は絶食、輸液、場合により抗生剤を使用します。多くの場合、1週間くらいの入院でよくなります。まれに、ひどくて、手術を必要とする場合もありますが、ほとんどの方は重症化しませんので、まずは落ち着いて下さい。水分は取ってかまいません。あわてずに病院を受診してください。

また、大腸がんなど、他の疾患がないことを確認するために、落ち着いてから大腸全体を内視鏡的に検査しておく事をおすすめします。この病気は動脈硬化や微小な血栓、梗塞(こうそく)などの「血管側因子」、それから、便秘や浣腸などによる腸管内圧の上昇や蠕動(ぜんどう)運動の亢進などの「腸管因子」が関与すると考えられています。

多くの場合、後者の因子が多く関与しているように思いますが、高齢化とともに、両方の因子が関与する場合もあります。発症年齢は60歳前後に多いですが、40歳未満でも25%は発症しているとの報告もあります。男女差は女性が70%以上と高率のようです。

高齢化がすすみ、同時に内視鏡検査の普及により、現在では一般的な病気となってきました。ただ、発症しやすいのは便秘傾向の人に比較的多くみられ、一度、発症した方も、再度、発症する場合があり、排便管理が重要です。