病気について知る病気辞典

近年、増えつつある「ビタミンD欠乏症・くる病」

2015年2月14日

現代ならではのビタミンD事情が

最近では、紫外線というとマイナスのイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。皮膚がん等の皮膚への悪影響が知られるようになり、UVカットの様々な商品が出回っています。また外遊びをする子どもたちも減り、特に夏場は熱中症も問題になるため、紫外線に触れる機会はかなり減っていると思われます。

しかし、紫外線には体に有益な作用もあることはご存知でしょうか。その一つがビタミンDの合成です。ビタミンDは腸管でのカルシウムの吸収を促進し、カルシウム・リン代謝を調節し、骨発育に必須の栄養素です。食物から摂取することもできますが、紫外線が照射されることによって皮膚で生合成されます。

ビタミンDが欠乏すると、小児ではくる病になったり、低カルシウムを引き起こしけいれんしたりすることもあります。くる病とは、成長に関わる成長軟骨での石灰化の障害で起こります。骨基質の石灰化不全のため、骨が変形し、O脚、脊柱彎曲(わんきょく)、病的骨折、成長障害等を引き起こす疾患です。生後6カ月から発症します。また、成人では骨軟化症を発症したり、骨粗しょう症の発症が増加したりします。

戦後、食料事情の改善で減少していたビタミンD欠乏症・くる病ですが、食生活の豊かな現代社会で、乳幼児に潜在的なビタミンD欠乏症・くる病が増えているといわれます。ビタミンD欠乏症のリスクファクターとして、完全母乳栄養、母親のビタミンD欠乏、食事制限(アレルギー、偏食、菜食主義等)、慢性下痢、日光暴露不足、早産児等が挙げられています。母乳栄養で、日光照射の少ない地域や冬季に乳児のビタミンD欠乏症が発症しやすく、注意が必要とされています。

ビタミンDを多く含む食品には魚介類、卵黄、キノコ類がありますが、外遊びが少なく、カルシウム摂取も不足しがちな現代生活では、より多くのビタミンDを摂取することが望まれています。このため必要量の摂取基準は食物のみからでは達成が難しく、強化食品やサプリメントの使用が必要といわれています。最近になり、0歳からの乳幼児にも使用できるビタミンDのサプリメントが市販されました。興味のある方は「ビタミンD・サプリ・ベビー」で検索してみてください。

また最近の研究によって、ビタミンDには骨を丈夫にするだけでなく、うつの予防、がんの予防、カゼ・インフルエンザといった感染症の予防、ダイエットなど、さまざまな効用があることが分かってきました。こういったことからもビタミンD不足には注意と言えると思われます。

もうすぐ寒い冬も終わり、外出が心地よくなってきます。ビタミンD不足にならないためには、直射日光を避けながら1日に30~40分程度、母親も赤ちゃんも日光に当たるよう心がけるといいと言われています。紫外線とうまく付き合っていきたいものです。