病気について知る病気辞典

うつ病について正しい理解を

2015年3月21日

こころ・からだの症状と治療について

うつ病のことをある有名な先生が「こころのかぜ」と表現し、だれでもかかり得る一般的な病気であると説明し、うつ病に対する世間の見方がかなりかわったと感じます。ただ、風邪引きのように数日で治る病気ではないことは忘れてはいけません。うつ病に対するより正しい理解をしていただけたら幸いと思い、うつ病について述べさせていただきます。

うつ病は最近患者の数が増加して、仕事や、家事ができなくなる人が年々多くなってきています。厚生労働省は2011年に地域医療の基本方針となる医療計画に盛り込むべき疾病として指定してきた、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に、新たに精神疾患を加えて「五大疾病」とする方針を決めました。職場でのうつ病や高齢化に伴う認知症の患者数が増加し、国民に広く関わる疾患として重点的な対策が必要と判断したからです。

うつ状態を引き起こす病態は多くあります。例えば、「うつ病」、「抑うつ神経症」、「アルコール依存症」、「認知症の初期症状」、「人格障害」、「適応障害」など、枚挙にいとまがありません。

一般的には、几帳面で、周囲のことを配慮し、周囲の評価を気にする、“いいひと”が本来のうつ病になりやすいといわれています。ここでは、本来のうつ病について述べたいと思います。

うつ病患者さんは、“いいひと”であるためよく気をつかい、周囲を気にするためにストレス状況に陥りやすい傾向があります。ストレスは、適度であれば問題ありませんが過度になると心身に変調をきたします。

うつ病の症状は、こころと、からだの両方の症状があります。

こころの症状は、落ち込み、抑うつ気分、意欲低下、思考力、判断力の低下、物忘れなどです。体の症状は、不眠、食欲の低下、全身のだるさ、体の重さ、動悸、そして、全身のいろいろな部位の原因不明の痛みなどがあります。

うつ病の治療は、一に休養、二に休養、三に薬物療法、四に訴えを受容的に傾聴する精神療法が必要と思います。薬を飲んでも休養しないとあまりよくなりません。気の持ちよう、克己心の不足などからうつ病になるわけではありません。充分な休養と適切な薬物療法が大切です。気分転換や気晴らし、旅行などはうつ病の一番しんどい時にはかえって悪化を招くことになりかねません。

うつ病になると大脳が機能不全に陥っていて正常な判断ができず、極端に物事を悪くとらえがちになります。これ以上頑張れなくなった状態がうつ病になる状態であるといわれています。本当に休養が大切です。他の病気と同じで、早期発見、早期治療は極めて重要です。軽いうつ状態で治療を受けると早く治ります。限界まで頑張って、ようやく治療に辿り着いたようなケースは治療期間が長くなってしまいます。

薬物療法は、SSRI、SNRI、NaSSA など、15年ほど前から副作用が少ない抗うつ薬が登場し、飛躍的に向上しました。また、再発予防や、難治性のうつ状態に対しては認知行動療法も有効な場合があります。うつ病の治療を行っていてなかなか軽快しない遷延性うつ病の患者さんもおられます。しかしほとんどのうつ病が治療によって軽快しています。

体調不良、経験したことのないしんどさを自覚した時、できるだけ早く、精神科、心療内科を受診されることをおすすめします。