病気について知る病気辞典

目覚めたら手がしびれて動かない~橈骨神経麻痺~

2015年6月18日

みなさん正座をした時、足がしびれて立てなくなった経験があると思いますが、似たような原因で突然手指が動かなくなる「橈骨神経麻痺」という病気があります。多くは長時間の上腕部圧迫によるもので「腕枕症候群」とか「土曜夜の麻痺」とも呼ばれます。しかし、肘掛けや背もたれに腕を掛けてうたた寝をする程度の圧迫でも麻痺を生じることがあるため、前記は適切な病名ではありません。

飲酒や睡眠剤の内服などで受傷のエピソードがはっきりせず、診断のため電気生理学的検査やMRI検査が必要になることもあります。長期間手指が動かなくなるため非常に厄介な病気です。

橈骨神経は頸髄から分枝した神経が脇の下を通り、上腕骨に接して背側から外側に回り込み、手首や指を伸ばす筋肉の運動を担当します。また、手の甲母示指間部(親指と人差し指の間)の知覚を担うため麻痺により同部のしびれを生じ、手指が垂れ下がる「下垂手」という変形をきたします。指を曲げることはできますが上手には使えません。神経が骨で圧迫されることにより強く障害され、その先の神経が変性するため麻痺が長期化します。

治療は変性した神経が再生するのを待つ保存療法で、神経の修復に有効なビタミンB12の内服、手指拘縮予防のリハビリ、装具療法などを行います。神経の再生は通常1日1mmと言われており中枢側から再生しますが、回復のスピードは個人差があり、1~3カ月を要します。

鑑別が必要な疾患も数多くあるので、自己判断せず医療機関での治療をおすすめします。