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“痛む…”“こわばる…” 若年者の長引く腰痛〜 実は強直性脊椎炎かも 〜

2015年5月23日

脊椎炎(AS)は、主におしりの両脇(関節)、背骨(脊椎)、腕や足の関節に慢性的に痛みを生じる病気です。
骨と骨とをつなぐ靭帯や骨と筋肉をつなぐ腱が骨に付着するところに炎症が起こるのが特徴で、初期には多くの場合、背中や腰やおしりにかけての痛みやこわばりがあらわれます。これらの炎症が長期に持続すると、脊椎の動きが悪くなり最終的には強直し特徴的な脊椎となる事もあるため強直性脊椎炎との名称がありますが、このような脊椎強直に至る患者さんは稀で、大部分は症状が年余にわたって徐々に進行していく事がほとんどです。しかし適切な治療が行われないと日常生活動作障害をきたし、生活の質が著しく損なわれてしまう事もあります。

近年ASに対する画期的な治療薬が見出され、早期の診断と治療開始により予後を大幅に改善できる事からその重要性が指摘される様になっています。

ASの男女比は3~4:1と男性に多く、ほとんどが思春期から30歳までに発症し、40歳代以降に発症することは稀です。欧米では10万人当たり100~200人程度の患者さんがいると言われていますが、日本では少なく、10万人当たり6~40人程度と考えられています。はっきりとした病因は不明ですが、発症した患者さんの多くが白血球に存在する組織適合抗原のHLA‐B27が陽性である事から、遺伝的因子の関与が考えられています。

診断は初期の頃はX線検査をしても変化がわかりにくく、また血液検査なども活動期に入ると、C反応性蛋白や赤血球沈降速度など炎症を示す数値が高くなりますが、ASだけに特定して異常があらわれる指標がありません。前述したように、HLA‐B27は高率に陽性になります。MRI検査では早期から仙腸関節炎の所見がみられるため、診断に有用です。

治療は、病因がはっきりとわかっておらず、根本から治療することが難しい疾患です。これまでは、消炎鎮痛薬や関節リウマチの治療薬を服用しながら、運動療法を行うことにより、痛みやこわばりをやわらげ、脊椎の変形を防ぎ、体の動きの保持をはかる治療が行われてきました。しかし研究が進むとともに、ASの炎症にはTNF‐αという物質が深く関係していることがわかってきました。こうしたことからTNF‐αの働きをおさえるバイオ製剤を用いるようになり、高い治療効果が得られています。

強直性脊椎炎のセルフチェック
Q1 40歳になる前から痛みがある はい・いいえ
Q2 徐々に痛みを感じるようになった はい・いいえ
Q3 動くことで痛みがやわらぐ はい・いいえ
Q4 じっとしていても痛みが良くならない はい・いいえ
Q5 夜痛みがある(起きていると良くなる) はい・いいえ

『はい』が4個以上の方は、ASの可能性もあるため、強直性脊椎炎の診断に詳しい先生にぜひ相談してみて下さい。