病気について知る病気辞典

「触らぬ耳に祟りなし」~外耳道のトラブル~

2015年8月29日

外耳道とは、耳の穴の入口から鼓膜までをいい、成人ではおおよそ30mm程のトンネルです。その太さや曲がり具合には個人差があります。耳鼻咽喉科で頻繁に診療する疾患に、この外耳道のトラブルがあります。今回はこのトラブルについてお話しします。

【耳垢・異物】
ご自身、またお子さんの耳垢を、ご家庭で掃除されている方は少なくないでしょう。しかしこの耳垢、はっきり見えないまま掃除しようとしても、的確には掃除できません。外耳道には、皮膚表面の古い角化物が剥がれつつ、耳の外側に向けて徐々に移動する「自浄作用」があります。耳垢が入口まで出て来ると、肉眼で確認できる場合もあり、この段階でうまく除去できる場合もあります。しかし、押し込んでさらに除去しにくくなったり、後述の外傷に至ったりしかねませんので、無理は禁物です。また、お子さんの場合は特に危険を伴うので、耳垢除去目的のみで耳鼻咽喉科を受診するのは正しいことです。そもそも、定期的に耳垢を除去しないと外耳道が詰まってしまう方は稀です。気にしすぎるのはよくありません。

耳に入ってしまった異物は、無理に触らず耳鼻咽喉科を受診しましょう。昆虫など動くものはもちろん、消しゴムやおもちゃなども、うまく取り出すことはほぼ不可能で、やはり後述の外傷の元です。もちろん殺虫剤などは、耳にも悪影響がある可能性があり、使用してはいけません。また、お風呂やプールで耳に水が入り、違和感や閉塞感がある場合も、水が外耳道の一番奥に溜まっている、大きくなっていた耳垢が水分で更に膨張している、といったことがあり、ご家庭での解決は困難です。

【外耳道や鼓膜の損傷】
先述のご家庭での耳掃除に関連してよく目にするのが、この外傷です。お話を聞くと、ほとんどの方がご自身やご家族の耳掃除の最中に、お子さんが動く、あるいは他のご家族がぶつかる、ペットがやってきた、といったことがきっかけです。これは耳掃除をしなければ、起こりえないトラブルです。外耳道のみの損傷に留まれば出血程度で済みますが、特に鼓膜の後方を損傷すると、稀に聞こえや味覚、平衡感覚に重い影響をもたらすこともあります。ご家庭での耳掃除自体あまりおすすめできませんが、成人の方がご自身の耳を触る場合も、お子さまが就寝した際などに行う方が無難です。

【外耳道炎】
耳掃除が好きな方は大抵、掃除しすぎ、の場合が多いです。外耳道の皮膚を傷つけて浸出液が出ている、細菌が感染して皮膚が腫れている、といった外耳道炎の患者さんを、ほぼ毎日お見かけします。短期的には痛みや閉塞感に、長期的には外耳道の狭小化や先述の「自浄作用」の減弱に悩むことになります。耳掃除がお好きな方は頻度を少なくしてください。また痛みや強いかゆみを感じたら、早目に耳鼻咽喉科を受診してください。

「触らぬ耳に祟りなし」、耳に手をやらなければ受診の必要がなくなったり、受診しても簡単な処置で済んだりすることは多いです。ぜひ注意してみてください。