病気について知る病気辞典

ペットブームの落とし穴~子どものペットアレルギー

2015年10月3日

日本国中、今や空前のペットブームの状況を呈しており、犬、猫、ハムスターをはじめとして、特に室内で動物を飼う家庭が増えています。可愛い犬や猫が大切な家族の一員という家庭も多く、国内の犬猫飼育頭数は子どもの数を超えたという統計も出ています。ペットを飼うことは子どもの情操教育という視点から見てプラスの面も大きいと思われます。しかし、時としてこれらのペットが喘息、鼻炎などアレルギー疾患の原因、あるいは症状悪化の要因になるという事実も知っておくべきかと思います。

ペットによって起こる直接のアレルギーは、ペットのフケ、毛、唾液、尿などによるものであり、間接的なものとしては、ペットを飼うことで増える室内のダニによるものがあります。このダニはハウスダストの主成分であり、ペットの存在が結果的にハウスダストアレルギーの症状を悪化させる可能性も高いと言えます。

したがって、家庭内にアレルギーの人がいる場合、特にこれから健康に成長すべき子どもにアレルギー体質がある場合、室内でのペット飼育は大いに考えものです。「乳幼児期のペットとの生活が、将来アレルギー疾患にかかるリスクを下げる」という有名な学説もありますが、現実にペットのアレルギーで苦しむ子どもたちを目の当たりにすると、机上の空論のように思われてなりません。

一般に、アレルギーによって起こる病気を治療する際に最も大切な方法は、可能な限りアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)を回避することです。アレルゲン回避をためらった結果として、アレルギーの症状で長く苦しむことになったり、過度に薬物療法に頼ることになったりするのは、あまり好ましいことではありません。

既にペットがいる家庭でアレルゲンを回避する方法としては、ペットの入浴・シャワー浴の励行(できれば週2回)、こまめなブラッシング、ペットと子どもの居住空間の分離(少なくとも寝室には入れない。可能ならば犬は庭へ)、掃除の徹底(毛・フケ・尿などの適切な処理)、空気清浄機(HEPA=High Efficiency Particulate Air Filter付きのもの)の設置などが考えられますが、これらの方法を駆使しても子どものアレルギー症状が軽減しない場合は、飼うのを諦めるという決断が必要になることもあります。飼い主にはペットに対する責任が伴うのは当然ですが、それ以上に我が子や孫の健康を守る責任の方が優先するのもまた当然の事実です。

子どものいる家庭で、ペットを飼うことを検討中の方は、そのペットが子どものアレルギーの原因になる恐れがないかどうか、また、もし不幸にしてペットのせいで子どもがアレルギー疾患で苦しむことになった場合には、引き取り先を見つけるなどの適切な対処ができるかどうか、最初によく考えてから決めていただければと思います。