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よく眠れていますか?~睡眠の役割と、睡眠不足が身体に及ぼす影響

2015年10月17日

健康を保つには運動する、食事に気をつける、節酒、禁煙が大切ですが、加えて質の高い睡眠を十分に取ることも重要です。マグロなど脳が小さな動物は、1日ほとんど眠らないくらいですが、一般に脳の大きさに睡眠時間は比例し、ヒトでは7時間ほどが理想的な睡眠時間とされています。

人はなぜ眠るのでしょうか?
目的の第一は脳を休めることです。睡眠中に脳のエネルギー消費量は減り、認知症(アルツハイマー病)などの原因となる老廃物を処理しています。第二には特に夢を見ている間、日中に経験したことを整理整頓し、大切な記憶を定着させています。ネズミでも夢を見ることがわかっています。

眠らないとどうなるのでしょうか?
眠らないと、集中力の低下やいらいらが出始め、幻覚が見えることもあります。ネズミの不眠実験では、2~3週間で極度に疲労衰弱し、特に免疫系が障害を受け死んでしまいます。ヒトの寝ない最長記録は11日間ほどですが、命に関わるため、ギネスブックから断眠記録は削除されているようです。寝不足が続くと、疲れやすくなり一瞬寝てしまうことがあります。この瞬間的な睡眠が運転中などに起きると非常に危険で、新幹線のオーバーランやスペースシャトルチャレンジャー号の爆発事故などに関係したのではないかと言われています。長時間寝ても、睡眠の質が悪いと寝た気がせず、やはり疲れやすくなり、瞬間的な眠気が出たりします。

睡眠の質が悪くなる原因に、病気以外ではお酒の影響があります。寝ている間、ほとんどの方が上を向いて鼻で呼吸しますが、鼻や喉の粘膜がアルコールで腫れたり、舌や顎の筋肉が過度に緩んだりすることで、息の通り道が狭くなり酸素の取り込みが悪くなるからです。

睡眠の病気は、睡眠不足症候群か睡眠時無呼吸症候群が代表です。

睡眠不足症候群は、文字通り睡眠時間が短いことで調子が悪くなる現代病です。遅くまで起きているのに、朝は決まった時間に起きなければならない人に多く、休日に寝過ぎるため、睡眠のリズムが狂ってしまい眠れなくなります。できるだけ睡眠時間を確保し、休日に寝過ぎないようにしてください。また自然に備わる生体時計をうまく活用しましょう。起きたらカーテンを開け部屋を明るくしてください。朝に太陽の光を浴びると、夜は自然と眠くなります。

誰でも眠ると筋肉が緩み、舌や顎が背中側に下がりますが、首の贅肉が付いていたり、日本人に多い顎が小さい方では、眠ると息の通り道が狭くなり過ぎて、呼吸が止まったり浅くなったりします。これが睡眠時無呼吸症候群で、いびきも出やすくなります。また、寝ている間に酸素不足になるため、熟睡ができなくなります。昼間強い眠気を生じ、事故の原因になったり生産性を下げたりしますが、動脈硬化が進みやすくなるため、高血圧や糖尿病との合併を起こしやすく、心筋梗塞や脳卒中の原因にもなります。

健康を長く保つために、質の高い睡眠を十分に取るようにしましょう。