病気について知る病気辞典

“肩が痛い…”“痛みで腕を上に上げられない…”

2015年12月5日

いわゆる「五十肩」の悩みはどうしたら?

肩の痛みにお悩みの方はいらっしゃいませんか?今回は肩関節の痛み、特に「五十肩」について、お話します。

いわゆる「五十肩」は中年以降(特に50代)に発症し、肩関節の痛みと動きの制限を伴う病気の総称です。肩関節とその周辺組織に炎症をきたすため、炎症を起こしている部位、炎症の程度によりさまざまな症状を起こします。医学病名として「肩関節周囲炎」とか、最近では「凍結肩」などと呼びます。

肩関節に起こる痛みが起こる原因は、「五十肩」のほかに、代表的には「肩腱板損傷」「石灰沈着性腱炎」があります。触診や、肩を挙げるときいつ痛みが出るかなどの理学的な所見や、画像的な所見で鑑別します。画像的な所見は、関節造影検査、MRI、超音波検査などで診断します。特に超音波検査は、その場で「筋肉・腱の状態や動き、石灰化」が外来ですぐにみられるため有効です。

「五十肩」の症状として、肩から上腕への痛みと関節の動きが悪くなることが挙げられます。症状と時期によって急性炎症期(痛みが強い)、慢性拘縮期(痛みは軽快しているが運動制限が残っている)、回復期(関節拘縮が改善する)の3段階に分類されます。

「五十肩」の急性炎症期では、炎症を起こした肩の周りの筋肉(肩腱板)や肩峰下滑液包という部位の痛みが主ですが、周辺組織に炎症が広がる場合もあり、肩周辺のかなり広い範囲に疼痛を感じます。安静にしていても痛みは強く、夜間に激しいのが特徴です。その痛みは肩だけでなく、時に肩から上腕にも広がります。夜間の痛みが強い場合、起き上がって座って腕を下げておくと、痛みが軽減することもあります。

また、日常生活で例えば、衣服の着脱、帯を結ぶ動作、入浴時の洗髪、洗濯物を干すため腕を上に挙げようとするとき痛みが出て、ADL、QOLを著しく障害します。

慢性拘縮期には、痛みが和らぎますが、可動域の制限が残っています。
回復期になると運動制限も徐々に改善して、運動時痛もだんだん消失します。
痛みが強い急性炎症期には、三角巾などで安静を図り、消炎鎮痛薬の内服、関節内注射などが有効です。
急性炎症期を過ぎたら、拘縮予防のため理学療法を行います。

しかしながら、肩の運動制限・拘縮が改善しない場合は、関節包を広げるように局所麻酔などの薬液を関節包に注入を繰り返す方法や、首の神経をブロックし、肩の痛みと筋肉の緊張を取った後、他動的に肩関節を十分に動かし関節包を広げる方法や、それでも改善しない場合によっては手術をすすめることもあります。

「五十肩」は自然に治ることもありますが、放置すると日常生活が不自由になるばかりでなく、関節が癒着して動きにくくなることもあります。ある報告によると、7年間の経過観察で、50%の患者さんで軽度の痛みや可動域制限が残ってしまったというデータもあります。肩が痛いときは、我慢せずに、早めに整形外科やペインクリニックへの受診をおすすめします。