病気について知る病気辞典

腸内細菌と増加する腸の病気

2015年10月15日

最近テレビなどでも「腸内細菌」についてよく耳にすると思います。腸内細菌は非常に多くの機能を持ち、胃腸の病気のみならず、糖尿病や高脂血症など、種々の病気の発症に関わっている可能性があります。中でも腸内細菌の大部分が存在する大腸の病気は、近年急速に増加し注目されています。

ヒトの腸内細菌は、その数約100兆個、重さにすると1kg以上にもなります。ビフィズス菌や乳酸菌ナントカ株などもその一つですが、培養法などこれまでの技術では腸内細菌を一部しか調べることができませんでした。しかし、近年の遺伝子解析技術の進歩により、腸内細菌の研究が飛躍的に進んでいます。便の中や大腸組織の中の腸内細菌の遺伝子すべてを一気に解析するのです。現時点ではいわゆる悪玉菌と善玉菌のバランスが崩れるため病気を発症しやすくなると考えられています。

近い将来、腸内細菌の操作により癌(がん)の予防、あるいは炎症性疾患の治療ができるようになる可能性があります。実際、一部の病気では治験が始まっており、健康な人の糞便(ふんべん)を病気の人の腸管に移す力業のような治療も始められています。とはいえ、腸内細菌の詳細は依然不明であり、新たな治療法ができるのはもう少し先になりそうです。幸い、腸の主な病気である大腸癌や炎症性腸疾患、機能性腸症などには、内視鏡や薬による優れた検査と治療があります。現時点では腸の病気は早期発見、早期治療を心がけることが第一です。