病気について知る病気辞典

加齢への処方箋(レシピ)~したたかに老いる

2016年1月1日

人生のモチベーションを高めましょう

駆け出しの整形外科研修医時代、日曜日の仕事は、ナースステーションで処方箋作成と、寝たきりのお年寄りの褥瘡(じょくそう)(床ずれ)の処置回診でした。寝たきりの原因は腰椎圧迫骨折であったり、大腿(だいたい)骨頸部骨折であったりと、当時の骨粗しょう症治療では十分対応できなかった惨めな結論に対して、新人研修医は何を考えたのか?当然、死への恐怖や孤独感に対して関心を持ったとしても、医師目線でしかなかったでしょう。以後20数年間、70、80代の患者さんの訴えに、体力勝負で錦織圭のごとくコツコツ傾聴、適当にアンサーをリターンしてきた私も人生の折り返しにきました。

人生100歳時代とうたわれ、超高齢化社会を迎えつつある現在、当然介護への疲弊も予測されますが、案外いけるんじゃない?と実感を抱くようになっています。というのは、骨粗しょう症治療薬の進化とアンチエイジングに対する認識が徐々に変わってきたこと、健康寿命が延びて元気な80代、90代が増えてきたことです。

一億総グルメの社会で、レシピとは献立という意味で使われますが、医学用語でのRp(recipe)は処方箋の意味で用いられます。研修医時代には考えられなかった献立の選択肢が多く増えてきたわけです。メタボリックシンドロームや運動器の廃用症候群(サルコペ二ア)の問題に対しては認識が深まっているのですが、「年をとってなんにも楽しいことはない」と打ち込まれれば、返すリターンもありません。

リウマチ医として、整形外科医として、骨粗しょう症や運動器リハビリテーションのレシピを考えてきましたが、加齢に対して惨めに敗北していく大きな理由は喪失感と孤独感でした。今こそ生きるためのモチベーションを失わないように、したたかに老いるための処方箋が必要なのです。

100歳は程遠い現実のように感じますが、最近数多く出版があり、100歳本と名付けて、クリニックの診察室の机に並べています。

人生のモチベーションを保ち続けるためには、したたかさも重要レシピだと考えます。瀬戸内の穏やかな自然に囲まれた伊予のコミュニティーの中で、したたかに健康寿命を延ばしましょう。