病気について知る病気辞典

加齢黄斑変性について、ご存じですか?

2015年12月19日

最近は、テレビやインターネットの普及に伴い、眼科の疾患も広く周知されるようになってきました。「加齢黄斑変性」という病名は、数年前までは一般の方々はあまり知らない病名であったと思いますが、最近はこの病気のことを患者さんの方から質問されることも多くなってきました。

しかし、疾患の内容や治療方法などはまだよく知られていないのが現状だと思いますので、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

人間の眼の構造はカメラに例えるとわかりやすいですが、フィルムの役割をしているところが網膜であり、いわゆる「眼底」と呼ばれているところです。この中心の一番感度のよいところが「黄斑」とよばれ、視力に重要な場所であります。加齢黄斑変性では、黄斑の下に何らかの原因で新生血管とよばれる異常な血管が発生し、ここから出血がおこったり、水がもれたりすることで網膜にダメージが起こります。症状は、見たいところがゆがんで見えたり(変視症)、一部暗くなったり見えなくなり視力が低下します。網膜自体が障害を受けていますので、眼鏡などの調整では治すことはできません。

加齢黄斑変性は50歳以上の1%に発症すると言われており、数年前までは有効な治療法はなく、視力がどんどん下がっていってもほぼ経過をみるしかないのが現状でした。しかし近年この新生血管を衰えさせる「抗VGEF薬」と呼ばれる薬剤が眼科分野でも応用されるようになりました。非常に細い注射針を用いて眼内に注射します。外来で治療でき、目薬の麻酔のみでほぼ痛みはありません。

残念ながらこの治療法は完全ではなく、注射をしても視力が悪いまま現状維持になってしまう場合も多くありますが、新生血管の場所によってはかなりの視力改善をする方もいらっしゃいます。しかし、薬の効き目がなくなると新生血管の勢いがぶり返し、再注射が必要になることがあり定期的に注射をすることも多いです。

さらに発病して時間がたってしまうと治療しても効果がでない傾向にありますので、前述したような症状が現れるようなら、早めに眼科を受診することをおすすめします。

また、加齢黄斑変性の発症のメカニズムはまだはっきりとわかっていませんが、元々欧米人に多い病気で、近年の生活の欧米化により、日本人でも増加してきています。食生活は肉より魚中心の方がよいとされ、緑黄色野菜は発症を抑制すると考えられています。喫煙は危険因子とされています。またルテインなどを含むサプリメントも発売されており、完全に予防することはできないものの、発症を低減するが分かっています。さらに加齢黄斑変性でおこるゆがみ・視力低下といった症状は、他の病気でも起こりえますので、鑑別してもらうことが重要です。