病気について知る病気辞典

無痛分娩のすすめ~理想分娩を目指して

2016年3月24日

「鼻からスイカを出す」「腰が割れる」などと表現される陣痛は、痛みの研究によると、癌性疼痛(がんせいとうつう)や骨折の痛みよりはるかに強いとされています。想像以上の、相当な痛みであることに間違いはありません。

150年以上前に、イギリスのビクトリア女王が無痛分娩をしたことをきっかけに、欧米では無痛分娩の普及率が高く、最も普及率の高いフランスでは、実に74%が無痛分娩を選択されています。アメリカ産科婦人科学会は「妊産婦が無痛分娩を要求することは当然の権利である」と声明を発表しています。日本では昔から「産みの苦しみ」「おなかを痛めたわが子」と表現されるように、陣痛を美徳と考え、「痛みに耐えてこそ母性が生まれる」といった迷信がありますが、無痛分娩でも自然分娩でも帝王切開でも、わが子をかわいいと思う気持ちに変わりはありません。歌人・与謝野晶子は、無痛分娩で出産したことを「さながら熟した栗の実が風に吹かれて殻から落ちるように自然らしく、ほとんど苦痛らしい苦痛をせずに産をした」と表現しています。

無痛分娩では、硬膜外麻酔という方法により陣痛の痛みから解放され、出産間際まで落ち着いた状態でいられ、かつ自分でいきんで出産することができ、より感動的な出産を迎えることができます。血圧低下などの合併症の可能性はありますが、熟練した専門医、スタッフによる管理を行えば安全に行うことができます。落ち着いて出産と向き合える「理想分娩」と考えています。