病気について知る病気辞典

歪んで見えることはありませんか?

2016年4月9日

眼のフィルム部分「網膜」で起こっている病気

カレンダーの枠や柱が歪んで見えることはありませんか?

片目を閉じて歪みがないか確認してみましょう。歪む部分があったり、一部黒く見えにくい部分がある場合は、網膜の病気の可能性があります。

人間の眼は2枚のレンズ(角膜・水晶体)で集めた光をフィルム(網膜)のセンサー(視細胞)で感じて物を見ています。この網膜の真ん中を黄斑(おうはん)と言い、ここに色を感じる細胞が集中しています。(真ん中が良く見えて、端に行くほど感度が悪い構造になっています)。

この中心部(黄斑)の形が崩れると、湾曲した鏡に物を映した時のように、物が歪んで見えるようになります。黄斑に歪みを生じる主な疾患には、以下のようなものがあります。

①黄斑前膜(おうはんぜんまく)

黄斑の表面に薄い膜が張ってくる病気です。薄いものも含めると高齢者の1割程度に生じますが、実際に見え方に影響する人は一部です。視力低下や歪みが強くなった場合は、手術で膜を取ります。

②黄斑浮腫(おうはんふしゅ)

網膜の血管が詰まって出血したり(網膜静脈閉塞症)、糖尿病や強い炎症などで血管の壁が脆くなって水分が漏れ出てきたりすると、黄斑が水膨れして浮腫になります。原因によって治療法が異なりますが、最近は浮腫を抑える薬剤を眼に注射する方法が多いです。

③加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)

近年、CM等で目にする機会が増えていると思います。網膜の下の土台(網膜色素上皮)に穴が開き、そこから異常な血管(新生血管)が伸びてくる病気です。古くなったコンクリートの隙間から雑草が生えてくるようなものです。新生血管は壁が薄く、水分が漏れたり裂けて出血したりしやすいので、放置するとどんどん視力が低下します。加齢以外でも強度の近視等でも起こすことがあります。失明に至る重篤な病気です。

現在は新生血管を枯れさせる薬剤を眼に注射する治療法が主流です。ただし穴を塞ぐことはできないので、再発したり、新生血管が薬剤に抵抗してしつこく残ることもあり厄介な病気です。近年、iPS細胞で網膜色素上皮のシートを作って穴を塞ぐ治療法が研究されてます。

黄斑の病気の問題点は、見え方が完全には戻らないことです。膜を取ったり浮腫が改善しても完璧に元通りの形になるわけではなく、微妙な凸凹がどうしても残ります。黄斑は視細胞が密集した非常に敏感な部分のため、ほんの少しの違いを感じ取ってしまいます。また、死んだ視細胞は再生しないため、出血や浮腫・膜の牽引などによって視細胞が死んでしまった分は視力が目減りします。現在の医学では黄斑の病気を無かったことにはできないのです。

そのため早期に発見し、適切な治療のタイミング(病気によって異なります)を逃さないことが重要なのです。症状がある方は、ぜひ一度眼科を受診してみて下さい。