病気について知る病気辞典

乳がん検診と乳がん診療

2016年4月23日

メディア情報の影響を体験して

昨年9月、元女子プロレスラーの方が乳がんに罹患し、診断から治療までの一連の流れが報道されました。その後、どこの乳腺外来も患者さんが激増したようです(当院もですが)。とりわけ、①「検診後1年以内に進行がんとして発見された。検診を受けていたのに…」や、②「乳がんのところが痛かった」という情報が流れると、「検診で異常なしと返ってきたのですが、本当に大丈夫でしょうか?」、「乳房が痛いのですが、乳がんではないですか?」と、受診される方が増えました。

欧米では、検診の普及によって乳がん死亡率が低下しています。日本も近年、ようやく死亡率の上昇に歯止めがかかってきました。

では、乳がん検診自体は普及していると言えるでしょうか?

がん検診推進事業として、各自治体からマンモグラフィ無料クーポン券が送られた時期がありました。しかし、その当時も検診受診率は目標の50%をはるかに下回る数字でした。今でも検診受診率はせいぜい30%くらいです。

では、どのような方が、乳がん検診を受けるのでしょうか?

基本的には40歳以上の方が対象です。一方、検診で精密検査が必要とされた方の中にも、すでにしこりに気づいて検診を受け、乳がんと診断される場合があります。二次精検施設(病院)では、検診所見を持参されても、もう一度マンモグラフィを撮影します。これでは2度“痛い思い!?”を、することになりますね。しこりなどの自覚症状のある方は、最初から診療施設(病院)に行きましょう。

逆に自覚症状のない方は、ぜひ検診を受けましょう。2年に1回は自治体から補助があり、検診を受けることができます。しこりになる前に、またはしこりに気付く前に発見するのが、「検診」の意義です。

話は冒頭に戻ります。

①については、中間期がんといい、これは「一定の間隔でがん検診を受けていて、前の検診では陰性と判定されたにも関わらず、次の検診が来る前に自覚症状から、がんを発見される例のこと。進行速度が速く予後不良であることが多い」と説明されます。また検診マンモグラフィは、原則2人の読影医師によるダブルチェックによって精度管理がなされていますが、それでも100%の診断率ではありません。特に乳頭周囲の乳がんは、診断率が落ちる傾向があります。

②については、炎症性乳がんのような痛みを伴う乳がんを除けば、多くの乳がんでは自発痛(何もしないで自然に痛い)はありません。乳がんで治療を受ける方の自覚症状は、ほとんどが「しこり」です。

報道によって検診受診者数も増加していたようですが、残念ながら「のど元過ぎれば熱さ忘れる」の例えのように、次第にこの現象も鎮静化しています。繰り返しになりますが、しこりになる前に、またはしこりに気付く前に発見するのが、「検診」の意義です。みなさんも、ご自分のこととして検診受診を意識されてみてはいかがでしょうか?特に家系に乳がん患者さんがおられる方は、要注意です。早期発見が、乳がん死亡率の低下につながることは明らかです。

…それにしても、マスコミの影響は大きいですね。