病気について知る病気辞典

夜尿症は、明日には治らない

2016年6月4日

おねしょの治療について

毎年、宿泊行事が近づくと夜尿の相談があります。「明日何とかして!」と言われますが、残念ながらこれはほとんどの場合、無理な相談なのです。

小さいうちは皆、夜尿がありますが、小学校入学以降も夜尿が続いている場合を夜尿症といいます。子どもの発達に関係が深く、ほとんどは自然に治って行きます。小学校入学の頃、10人に1人は夜尿します。小学校のうちは学年が上がるごとに10~15%の子が治って行き、中学になると100人に1人か2人になります。ですから、まず夜尿症に対する第一の基本原則は「あせらず」です。

濡れた布団や衣類のお世話をしているお母さんが怒りたくなるのはもっともですが、いくら怒っても治りませんし、かえって親子関係に悪い事が起きます。昔は本人の自覚が足りないなどという誤った精神論的な指導もありましたが、精神論では治りません。最近の研究では、夜尿症児の排尿機能の発達の遅れの原因は心因的なものではなく、遺伝によるものが大きい事が明らかになっています。親子は似るのです。そこで第二の基本原則は「おこらず」です。

夜尿は身体的発達の問題で、排尿機構の発達がのんびりしていると言えます。3~4歳を過ぎると、多くの子どもさんは朝までおしっこを膀胱に貯められるようになります。膀胱の伸び縮みをコントロールする自律神経の発達により、夜に熟睡すると膀胱の緊張がゆるみ、昼間の1.5倍程ためられるようになります。

赤ちゃんの時は、抗利尿ホルモンを夜出して尿量を減らすというリズムができてなく、また腎臓も未熟なため1日中排尿します。だんだん成長するとこのメカニズムがうまく働いて夜間の尿量が減ってきます。起こさず、子ども本来の睡眠のリズムを作ることは、夜尿を治すためにとても大切です。

なお、成長のための成長ホルモンは夜寝ている間に出ます。寝る子は育つのです。夜は起こさずじゅうぶん寝かせる。よって第三の基本原則は「おこさず」です。

治療の基本は生活改善です。食事や水分のコントロール、膀胱訓練など、家族が協力して毎日の暮らしの中で続けていくことです。薬を処方したり尿が漏れたら鳴るアラームを使ったりする治療はありますが、これは生活改善を行ったうえで、それを手助けするものと考えてください。

さて夜尿症はいつ治るのでしょう。それは夜尿症の重症度によります。眠って早い時間帯に出る子、一晩に何回も出る子はまだまだ時間がかかります。

まれに他の病気が原因で夜尿が起きていることがあります。①尿だけでなく便の漏らしもある、②体全体の発育が悪い、③10歳を過ぎて昼間のおもらしがある、④何か異常を感じるなどの場合は、一度病院で精密検査を受けることをお勧めします。何か心配なことがあったり、詳しい指導を希望される方は、一度専門医にご相談ください。宿泊行事が心配な方は、少なくとも何カ月か前にご相談ください。