病気について知る病気辞典

長引く咳、本当に風邪と思っていて、いいの?

2016年6月11日

咳(咳嗽/がいそう)は患者さんが医療機関を受診する理由のうち、最も頻度の高い症状です。咳嗽の原因疾患は、自然に回復していく傾向のある普通感冒(かんぼう/風邪)から生命に危険の及ぶ肺がんまで多岐にわたり、呼吸器系以外の疾患も原因となる場合があります。

咳嗽は持続期間により、3週間未満の急性(きゅうせい)咳嗽、3週間以上8週間未満の遷延性(せんえんせい)咳嗽、8週間以上の慢性(まんせい)咳嗽に分類されます。このような分類を設けることにより、咳嗽の原因疾患がある程度推定できるようになります。すなわち、急性咳嗽の原因の多くは感冒を含む気道の感染症であり、持続期間が長くなるにつれ感染症の頻度は低下し、慢性咳嗽においては肺結核(はいけっかく)などの抗酸菌(こうさんきん)感染症や肺真菌症を除けば感染症そのものが原因となることはまれになります。

慢性咳嗽の対応として原則として明確な咳の誘発因子(薬剤の服用により悪化、喫煙など)がみられた際はそれらの除去を行い、咳嗽以外の症状(ゼーゼーという喘鳴など)、胸部レントゲン写真での異常陰影が認められる時はそれらの異常に対する精密検査や治療が必要になります。

喀痰を伴わない慢性咳嗽のなかで、最も頻度が高い疾患は咳喘息(せきぜんそく)または喘息になります。次いでアトピー性咳嗽や胃食道逆流症(いしょくどうぎゃくりゅうしょう)による咳嗽になります。これらの疾患に関しては対症療法としての鎮咳薬(ちんがいやく)のみでは効果が得られないことが多く、病態にあった治療が必要になります。

夜間から早朝にかけて咳の悪化に加え、時に眠れないほどの咳や季節の変わり目などに症状が悪化する際は咳喘息か喘息を疑い、気管支拡張薬(きかんしかくちょうやく)や吸入ステロイドの投与が必要になります。のどの奥のイガイガ感や掻痒感(そうようかん)、アレルギー疾患の合併(特に花粉症)がある場合は、アトピー性咳嗽を疑い抗アレルギー薬の投与が有効です。

胸焼けなどの症状、会話時・食後・起床直後・上半身前屈時の咳の誘発、体重増加に伴う咳症状の悪化がある際は、胃食道逆流症を疑い制酸剤(せいさんざい)が有効になります。また咳の原因としてこれらの疾患が複雑に絡み合っていることも少なくはなく、多剤併用(たざいへいよう)で治療されることも少なくありません。

いま一度、咳の続いている方がおられましたら、お近くの医療機関を受診してみてください。