病気について知る病気辞典

肩の痛みと超音波による診断・治療

2016年10月1日

長引く痛みを我慢しないで

肩関節の診療は「超音波」診療の普及で大幅に進歩しました。

「超音波」というと、内科でおなかや心臓に当てて診断するイメージがありますが、近年では、手術麻酔による痛みを抑えるために、麻酔科医が「超音波」を用い、末梢神経ブロックを行うこともあります。肩の痛みの診断・治療にも、そのテクニックを応用します。

「超音波」の利点は、レントゲンと異なり被ばくしないこと。MRIなどの画像診断と異なり、リアルタイムに動画で診断できること。また、診断のみならず、治療にも有効で、厚さ1mmといわれる肩(けん)峰下滑(ぽうかかつ)液包(えきほう)などにも、正確に薬液を注入ができることなどです。

肩関節の痛みでよく耳にするのは「五十肩」(肩関節周辺炎)。中年以降に発症し、肩の動きの制限を伴います。

「五十肩」という名称のために、50代を過ぎるまで待てば自然に治ると信じ、長期の痛みのために、うつ病のようになってからやっと来院される患者さんもいます。治癒までに平均2年半はかかるといわれるこの疾患は、未治療の場合、発症7年経過で、50%の人に痛みや可動域制限が残ったという報告もあります。

急性炎症期では、夜間に激しく痛み、寝返りもできません。日常生活では、衣服の着脱、ひもを結ぶ動作、洗髪なども困難になります。

慢性拘縮期から回復期になると、多くの患者さんが可動域の制限も改善しますが、時として肩の拘縮がどうしても改善しない人もいます。そんな場合、「超音波」装置で神経ブロックを行い、肩の痛みと筋肉の緊張を取り除いた後、医師が肩関節を十分に動かし、関節包の癒着を剥がし広げる治療が、近年行われるようになりました。

肩関節に起こる痛みの原因は、他に「肩腱板損傷」「石灰沈着性腱炎」などがあります。これらの疾患の診断にも「超音波」が有効です。

肩関節が痛い時は、早めに整形外科やペインクリニックへの受診をおすすめします。痛みの期間を大幅に短縮させ、可動域を改善する可能性があります。