原発性腋窩多汗症(いわゆる脇汗)について
原発性腋窩多汗症(げんぱつせいえきかたかんしょう)(いわゆる脇汗)について
福音寺皮ふ科ひ尿器科クリニック 杉浦啓介 先生
汗には大切な役割があります。体温が上昇すると汗をかいてその汗を蒸発させて体温を下降させたり、汗をかくことで皮膚の潤いを保持したり、異物から守る役割もあります。
さまざまな理由で必要以上に汗をかき日常生活に支障をきたす病気を「多汗症」といいます。明らかな原因のない多汗症を原発性多汗症、病気やお薬の副作用が原因となる多汗症を続発性多汗症といいます。
また全身に汗をたくさんかくものを全身性多汗症、一部の特定の部位に左右対称性に汗をたくさんかくものを局所多汗症といいます。局所多汗症のうち脇の下から大量に汗がでるものを原発性腋窩多汗症(いわゆる脇汗)といいます。
主な症状は、汗ジミが気になって仕事や勉強に集中できない、汗ジミが気になって着る服の色が制限される、電車やバスの吊り革を持つときに脇の汗ジミが気になる、などがあります。多くは10代頃に症状が出現し、2020年の報告では日本に約260万人の患者さんがいると推測されています。原発性腋窩多汗症には診断基準があります。6カ月以上脇汗を多量に認めることに加え、以下の6項目のうち2項目以上当てはまるものがあれば原発性腋窩多汗症と診断します。
①最初に過剰な脇汗がでたのは25歳以下である
②左右同じように脇汗がでる
③睡眠中は脇汗が止まっている
④1週間に1回以上過剰な脇汗がでる
⑤家族に同じ症状の人がいる
⑥脇汗によって日常生活で困ることがある
また、重症度の判定は4段階で
①発汗は全く気にならず日常生活に支障がない
②発汗はがまんできるが日常生活にたまに支障がある
③発汗はほぼがまんできず日常生活にしばしば支障がある
④耐えがたい発汗で常に日常生活に支障がある
これらのうち③、④は重症とされています。治療に関しては、従来から飲み薬による治療、注射による治療、手術による治療が保険適応としてありましたが、外用剤による治療が保険適応に追加されています。シートタイプやゲルタイプの外用剤で脇に直接薬をつけることで皮膚から吸収され発汗を促す物質をブロックして過剰な発汗を抑えます。外用剤ですが、持病によっては使用できない方もいらっしゃいます。
市販されている制汗剤とは成分が違いますので効果が不十分だった方や、かぶれて使えなかった方も使用できます。これから暖かく(暑く)なって薄着になる機会も増えると思います。脇汗で悩んでいる方がいらっしゃいましたら一度皮膚科を受診してみてはいかがでしょうか。

