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子どもの夏の皮膚トラブル

2022年7月1日

 子どもたちにとって夏は楽しく、元気に活動する季節ですが、いろんな皮膚トラブルが増える季節でもあります。温度や湿度の上昇を中心として、様々な悪化因子が影響してきます。これらに対するスキンケアが重要になってきます。

 ① 発汗の増加
 夏は屋外での運動や遊びが盛んになり、元々、子どもは大人より汗をかきやすいのですが、汗をかいたままにしておくと、ほこりや汚れが付着し、皮膚を刺激し、かゆみや湿疹、汗疹(あせも)等を引き起こします。そのまま放置せず、速やかに汗を流すスキンケアを心がけましょう。石けん等を使用する必要はなく、シャワー浴だけでも有効です。室内で過ごすときはエアコン等で必要以上に汗をかかない環境を作りましょう。

 ② 感染症
 温度、湿度の上昇は細菌やウイルス、真菌(カビ)にとって発育しやすい環境になります。ブドウ球菌やレンサ球菌等による伝染性膿痂疹(とびひ)や軟属腫ウイルスによる伝染性軟属腫(水いぼ)等に注意が必要です。皮膚を清潔に保ち、かゆみで掻き壊さないようにしましょう。

 ③ プールや海水浴
 塩素や塩分の刺激で湿疹等の皮膚症状が悪化することがあります。プールや海から上がった後はすぐにシャワーでしっかり洗い流し、帰宅後に石けんで体を洗いましょう。石けん使用した後は保湿も忘れずに。元々、湿疹がある場合は、プールに入る前にワセリンのような油性の軟膏を塗布して保護してもよいでしょう。

 ④ 紫外線
 夏は紫外線が強くなり、夏休み後の日焼けが健康の証とされた時代もありましたが、日焼けが皮膚がん等のリスクを増加させますので、できるだけしない方がよいでしょう。帽子やフードなどの使用、泳ぐ際のラッシュガード着用等で日焼けの防止をしましょう。適度な紫外線曝露はビタミンD欠乏症の予防に有効とされていますので、過度に日光を避ける必要はありません。適宜日焼け止めも使用しましょう。ただし、日焼け止め自体が刺激になることがありますので、子どもに合うものを選びましょう。

 ⑤ 動植物による皮膚障害
 夏は動物、植物の活動が活発化します。皮膚の露出も増えることもあり、動植物に触れない、刺されないことが大切です。虫除けスプレーを使用したり、接触する機会が多いところへ出かける場合は、長袖・長ズボンの着用等により、できるだけ肌の露出を控えたりしましょう。

 まだまだ暑い夏は続きます。スキンケアだけでなく、熱中症や水の事故にも注意が必要です。子どもたちが皮膚トラブルなく、楽しい夏を過ごせますように。