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いちご状血管腫(けっかんしゅ)のお薬について

2023年7月21日

赤ちゃんの顔や体に発生する、いちごを張り付けたような赤いアザを「いちご状血管腫」と言います。このアザは生まれた時からあることは少なく、生後1カ月ごろに発生して急速に大きくなります。1歳ごろに最大となり、その後は自然に小さくなっていって、3歳ごろにはほぼなくなると言われていますが、約25~70%の患者さんにはあとかたや傷あとのようなものが残るとされています。生まれたばかりの赤ちゃんに発生し、とても目立つので、ご両親やご家族は大変心配されます。昔は良い治療法がなかったので、病院で「自然に良くなるので待ちましょう」と言われ、つらい気持ちで過ごされたご家族も多かったと思います。しかし、2008年にベータ―ブロッカーという心臓の働きを休めてその機能を保護するお薬の中に、このアザによく効くものがあることがわかりました。その後、世界中でお薬の効果・安全性を確かめて、2016年からは日本でも使えるようになりました。約7~8割の患者さんに効果が認められますが、もともと心臓のお薬ですから小児科で心臓に異常がないことを確かめてから使います。このため、このお薬が使えるのは、小児科、皮膚科、形成外科などがそろい、お薬の使用を許可された大きな病院に限られています。有効性は高いのですが、それでもお薬は万能ではありません。お薬の副作用への対処、レーザーなどほかの治療、残った傷あとに対する治療なども含めて総合的に対応する必要があります。形成外科、皮膚科、小児科などで相談し、対応可能な病院へ紹介してもらってください。