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カモガヤ花粉症 (イネ科花粉症)について

2023年7月21日

 だんだん暑くなり雨が降る日も増えてきて、雑草が至る所で生えてくる時期になりました。夏にかけて「くしゃみ」「鼻水」「目のかゆみ」などの症状がある方は、カモガヤ花粉症(イネ科花粉症)である場合がとても多いです。知名度は低いですが患者さんはかなり多く、風邪と勘違いしている方もよくいらっしゃいます。

  イネ科花粉症といってもお米がとれる稲の花粉はあまり花粉症とは関係ありません。イネ科花粉症の原因植物は、カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなどで、もともとは海外から輸入された牧草です。寒さに強く繁殖力があることから、雑草として日本全国に広がりました。

 特に花粉症の原因になりやすく重要なのはカモガヤです。毎年4月末〜7月を中心に花粉症の原因になるイネ科の雑草です。草丈は60cm〜120cm程度で、葉は緑色、枝の先に小さな白っぽい花が集まって咲きます。特に多いのは河原、公園などですが、庭や住宅地の空き地、道路脇などに多数生えています。

  イネ科花粉症はくしゃみ・鼻みず・鼻づまりが中心で、目のかゆみ・充血もあり、症状はスギ花粉症とおよそ同じです。花粉に接触すると皮膚症状が出る場合もあります。

 イネ科花粉など草の花粉の特徴は、遠くには飛ばないことです。飛散範囲は数十m程度のため、近づかなければあまり影響はありません。スギやヒノキの花粉が数十km以上飛散することと大きく異なります。

 対策として公園や河原の草を個人で刈り取ることは現実的ではありませんが、自宅の家の庭などに雑草が生えているようならば、なるべく早めに草刈をしておくことは有用です。その際はマスクを着用し花粉を吸い込まないようにしてください。

  カモガヤ花粉症(イネ科花粉症)の方の多くは、スギやヒノキ花粉症も持っています。つまり春の花粉症が長引き、いつまでもくしゃみや鼻づまりなどの症状が続く場合は、カモガヤ花粉症がとても疑わしいです。

 また、カモガヤ花粉症の方は口腔アレルギー症候群と言って、メロンやスイカなどを食べることで、口腔内がかゆくなったり、喉がイガイガしたりすることがあります。これらの果物が、カモガヤ花粉と共通の蛋白抗原を有していることにより、口腔や咽喉頭などの粘膜にメロンやスイカが接することで、局所アレルギー反応を起こすためと考えられています。

  治療は、スギ花粉症と同じく、抗アレルギー薬、ステロイド鼻用噴霧薬などです。目のかゆみを伴うことも多く、抗アレルギー点眼液を処方することが多いです。花粉症といっても花粉の種類によって、花粉対策も変わりますし治療も変わります。まずは「何」花粉症であるのかを調べるところから治療は始まりますので、きちんと病院を受診して診断をつけて治療をしましょう。