睡眠障害について
暑くて寝苦しい日が続いているかもしれません。精神科・心療内科で睡眠についての相談はとても多く、不眠がうつ病などの精神疾患につながることもあります。睡眠については厚生労働省から「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠12箇条~」(下記)というものが出されており、現在でも良い睡眠について考える上で十分なアドバイスとなっています。
良い睡眠は心身の健康を保つために大事なことなので、眠れなくて困っている方は読んでみることをお勧めします。大事なポイントを説明します。
健康づくりのための睡眠指針2014
~睡眠12箇条~
1.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
2.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
3.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
4.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
5.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
6.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
7.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
8.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
9.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
10.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
11.いつもと違う睡眠には、要注意。
12.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
第2条;適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
朝起きて朝食をきちんと食べることが、良い生活リズムを作り、良い睡眠につながります。日中に体を動かして、少し疲れを感じることも大事です。また寝酒や夜食、寝る前のコーヒーなどは睡眠の質を悪化させてしまうかもしれません。特に睡眠薬代わりのアルコールは、寝つきには良いかもしれませんが睡眠の質が悪くなってしまいます。アルコールを繰り返し飲んで寝ていると、段々とアルコールが増え、依存症になる可能性があります。
第5条;年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
眠る時間は人によって様々であり、何時間眠れたかにはあまりこだわらない方がよいです。昼間の眠気で困らない程度の睡眠で十分です。ふつうは6~8時間の睡眠が必要と言われますが、必ずそれだけ眠らないといけないわけではありません。いつもの生活に眠気で困らなければ大丈夫です。
第7~第9条はそれぞれの世代に応じた睡眠についてのアドバイスになっています。年齢や生活スタイルによっても睡眠のとり方は変わってきます。
第10条;眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
眠りに入る時間は体の調子やその日の疲れ具合、季節や天候などによっても変化するので、毎日同じ時間に眠る必要はありません。特に寝る2~3時間前は最も寝つきが悪い時間帯と言われます。そのため早く寝ようと思って布団に入っても、逆に眠れないことで不安と緊張が強くなり、さらに眠れないという悪循環になります。少々遅くなっても眠くなってから布団に入るほうがよく、朝はいつも通り決まった時間に起きることが大事です。
第12条;眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
自分でいろいろ工夫しても不眠が改善せず、毎日の生活に困っている場合は、早めに受診することをお勧めします。専門家からのアドバイスやお薬の治療で改善が得られる場合が多いです。最近は新しいタイプの睡眠薬も出ており、以前ほど依存性を心配しなくてよいものもあります。