病気について知る病気の解説

患者さんから聞かれる素朴な疑問 「全身麻酔から目が覚めたら痛いのですか?」

2023年9月15日

南松山病院 麻酔科
德岡 浩信

 手術を受ける患者さんは、「この病気は手術をして治るのだろうか」「手術はうまくいくのだろうか」「全身麻酔から目が覚めるのだろうか」と、多くの不安を抱えて手術にのぞまれております。
 われわれ麻酔科医は、手術手技、患者さんの状態に応じて麻酔計画を立て、患者さんに麻酔の説明を行います。すると一通り説明を聞いた患者さんから「目が覚めたら痛いのですか?」と聞かれることがあります。以前の全身麻酔では、手術室で麻酔から覚めてもうつらうつらしていて、気が付いたら病室のベッドでしたと話される方がほとんどでした。近年は、麻酔薬の進歩により術中の鎮痛、鎮静、不動化は向上し、術後は速やかに良質な目覚めが得られるようになりました。しかしながら、不十分な術後疼痛(とうつう)管理であれば、即座に痛みを感じることとなります。それは、循環器系、呼吸器系、内分泌代謝へ悪影響を及ぼし、術後合併症の発生の原因となり、ひいては疼痛の慢性化にもつながりかねません。
 われわれ麻酔科医は、手術を受けた患者さんの痛みをやわらげ、安らかに過ごされるよう、術式に応じて最適な術後痛対策を準備して手術にのぞんでいます。例えば、患者さん自身が痛いと感じたときに鎮痛薬の投与ボタンを押す自己調節鎮痛方法や、多角的鎮痛方法、区域麻酔方法などがあります。優れた術後鎮痛は患者さんの満足度を向上させるのみならず、術後合併症の発生低下にもつながります。
 われわれ麻酔科医は、患者さんの笑顔と感謝が得られる仕事となるよう取り組んでおります。少しでも不安なことがあれば、遠慮なくおたずねください。