病気について知る病気の解説

貧血に関するお話

2023年9月1日

 貧血が起こる原因はさまざまですが、その80%以上が体内の鉄不足による「鉄欠乏性貧血」といわれています。特に、月経や出産で血液が失われる女性は貧血になりやすく、2015年厚生労働省の調査によると、成人女性の約10%、さらに50歳未満に限ると20%の方に貧血を認めます。50歳以上になると、貧血患者数は半減しますが、貧血の原因として痔出血、胃腸の潰瘍やがん、女性の場合婦人科の悪性疾患など、深刻な病気が隠れていることもあります。

 貧血の症状としては、疲れやすい、動悸(どうき)や息切れといった比較的貧血を想起しやすいものから、日中の眠気、集中力や記憶力の低下、口角や舌の痛み、無性に氷が食べた

くなる、足がムズムズするなど、貧血と関連して考えにくい症状までさまざまです。貧血の症状でしばしば「立ちくみ」が挙げられることがありますが、この症状はどちらかといえば、起立性調整障害など自律神経が係る症状であることが多いです。

 貧血を長期間放っておいた場合、身体にさまざまな変化が起こる可能性があります。特に注意していただきたいのは心不全です。これは貧血になると心臓から運ばれる酸素の量が減るため、心臓が脈拍を増やし対応することが要因です。特に高齢の方は貧血を改善して、心臓を休ませてください。

 健康診断で貧血を指摘されたり、「貧血かな?」と感じた時、一度近くの医療機関で受診することをお勧めします。消化器疾患や婦人科疾患だけでなく、甲状腺疾患や腎臓病、膠原(こうげん)病など隠れた病気を発見できることも少なくありません。