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冬になると体がかゆくなるのは、なぁぜなぁぜ?

2024年1月12日

済生会松山病院 皮膚科 緑川 和重 先生 

 皆さんの体の表面には「垢(あか)」があります。生きている以上、「垢」は毎日できます。この「垢」、言葉の印象は悪いですが、人間の体には無くてはならない物です。垢があるおかげで人間の皮膚は保湿され、しっとりし、かゆみが起きにくくなるのです。
 では、垢は何からできているのでしょう? それは皆さんの皮膚が新陳代謝を受け、古くなった物です。最終的に一部が分解され、さまざまな保湿成分になります。つまり皆さんの皮膚から、自分に合った、自分のためだけの、オーダーメードのさまざまな保湿成分が、毎日自然に作られているのです。工場で大量生産された単一の保湿剤は、フィットする人もいますが、合わずにかぶれる人もいます。
 皆さんの中には「垢がついてたら嫌だ」「古いものは除去するべきだ」と、風呂で体をこすって洗う人がおられると思います。こすって洗うと垢はもちろん少なくなりますが、各種保湿成分も少なくなり、皮膚の保湿ができなくなります。夏の暑い間は新陳代謝が盛んで、少々こすっても保湿成分は早めに補充されますが(このため夏はかゆくなりにくい)、冬は代謝が遅くなるため、こすって洗うと保湿成分が少なくなり、体が乾燥し、かゆくなりやすいのです。
 ではどうやって洗ったら良いのでしょう。それをお伝えする前に、まず、皆さんは顔をどのように洗いますか?大多数の人は優しく手で洗います。手で洗うことで、もっちりしっとり理想的な肌になります。顔をこすって洗うと、肌が荒れたり、シワやシミの元になります。体の皮膚も同じです。こすって洗うとシワやシミができ、保湿成分が無くなり、かゆくなります。 冬になると体がかゆくなる人は、顔と同じで、体も手で優しく洗いましょう。