病気について知る病気の解説

目が赤くなった!

2024年1月19日

南松山病院 眼科 篠崎友治 先生

 今回は日常遭遇するちょっとした目の症状についてお話しさせていただきます。人から「目が赤いよ」と指摘され、鏡で自分の目を見て白目がべったり赤くなっていて、びっくりした経験はないでしょうか。
 慌てて眼科受診はしたけれど「問題ありません」と言われてしまったとすれば、これは『結膜下出血』の場合が多いです(後述しますが『結膜炎』とは異なりますので用語に注目ください)。

 結膜下出血は結膜の血管が切れて、結膜と強膜の間に血液が貯留した状態のことを言います。眼科で診察した場合、正常な透明結膜の下に赤色の出血が観察されます。症状が激しい場合は暗赤色で結膜が盛り上がっていることがあります。症状は少しの異物感のみで、見え方などに自覚症状はありません。
 原因は目をぶつけたなどのケガによる結膜下出血もありますが、原因がなくても結膜下出血を起こす事はしばしばあります。若年者ではドライアイやコンタクトレンズ装用による物理的刺激が影響することもあります。また、高齢者では加齢により結膜がたるんでくる結膜弛緩症が影響し、これに伴い結膜の血管が切れて結膜下出血になることもあります。全身疾患の治療のため抗凝固薬を使用している方や、血液凝固能異常の病気が影響して結膜下出血を起こしやすくなっている方も一部でおられます。
 「ケガもしていないのに結膜下出血になった」という事であれば、心配はなく、時間外の救急病院受診は必要ない病気ということになります。結膜下出血かどうか分からない場合や、他の目の病気が考えられる場合には開院時間でよいので眼科受診をしてみてください。ケガによる結膜下出血の場合は目の他の部位(水晶体、網膜、視神経など)に障害がないか検査する必要がある場合があります。

 また、結膜下出血と同じように目が赤くなるけれど、異なる病気には『結膜炎』があります。『結膜炎』は充血が主な症状で血管の拡張(全体)であり、絵具のような出血(局所)の『結膜下出血』とは異なります。ご存じの方もいると思いますが結膜炎にはいくつか種類があり細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、アレルギー性結膜炎などがあります。ウイルス性結膜炎の中でも流行性角結膜炎(はやり目)は他人に感染しやすく正確な診断を必要とする場合があります。結膜下出血以外の他の目の病気の可能性や症状があるなら念のため眼科受診をしたほうがよいと思われます。
 目が赤い症状が『結膜下出血』であれば治療は必要ありません。通常1~2週間程度で自然吸収されます。その間、目が赤く、他人に驚かれるし、見た目がよくない、といわれる方もいますが、今のところ出血消退を早める目薬はないのが現状です。